運命の女神 | ナノ
やっぱりあの子は魔女だ1/2
「僕が運命に選ばれた…?」
「貴方だけじゃないわ」
「……君、は…天使なんだよね」
彼女の頬が緩んだ、
彼女の笑顔、
心臓が早い、
胸が高鳴る、
もう、反らせない――…
「違うわ、」
「じゃあ、君は一体何者なの…」
「それは貴方が一番わかってるはずだわ」
「…僕が?」
「私を、何者だと、思う…?」
一つ一つの彼女の声が、
頭に響いて、
深い、深い記憶まで呼び起こす。
「……っ…君は、」
苦しい、胸が、
心が…苦しい。
瞳を思わず閉じると、繋がれていた彼女の手に力が入った。
「!」
引き寄せられて、背中に彼女の手が回る。
「思い出せない苦しい記憶、」
「……、」
近くで響いた彼女の声、
ふいに顔を上げた彼女の顔は、近かった。
「でもね、身体は覚えてるの」
覚えてる、
身体は、覚えてる…。
彼女の身体は冷たいのに、
僕の身体は熱い。
僕は彼女の背中に手を回すと、
ゆっくりと顔を近づけた。
「……僕は君を知ってる。」
薄いピンク色の彼女の唇に、
ゆっくりと触れた。
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