運命の女神 | ナノ

貴方もその一人
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「晶ちゃん、先生なんだって?」

「うん、大丈夫って言ってたよ」

一緒の傘に入りながら、

陽毬に笑いかけると、安心したように笑った陽毬

それだけでなんだか幸せな気持ちになれた。

「あれ?苹果ちゃん?」

目の前には荻野目さんの姿、

傘もささずに佇んでいる。

「なにやってるんだ?!びしょぬれじゃないか」

「…、」

「…苹果ちゃん、今日の夕飯一緒に食べない?」

そう優しく陽毬は荻野目さんに笑いかけると、

荻野目さんの顔は上がった。

結局一緒に帰ることになった荻野目さんを陽毬と一緒に傘にいれて、

自分は後から走って変えることにした。

「雨の中ってやっぱり風邪ひくかな…」

荒い呼吸の中、

風をひいた時のことを考えると、

なんだか憂鬱な気分になった。

「あ、れ…」

目の前に、あの少女がいた。

初めてあったあの場所に。

傘もささずに、瞳を閉じて、

まるで眠っているみたいに、

立っていた。


「なにやってるんだ?!」

かけよると、

彼女の瞳は開かれた。

雨の中でも輝く光に、少しまぶしさを感じたが

不思議な気持ちにもなれた。

「…びしょ濡れじゃないか、」

僕も人のことはいえないけれど、

はるかに彼女の体は濡れていた。

輝いていた銀色の髪は、

色が濃くなり、ストレートになって、

肌にひばりついていた。

「…大丈夫、」

「大丈夫じゃないよ、」

少し細まった彼女の瞳は、そのまま僕に向けられた。

心臓が高鳴った。

あの時の感じ、と似てる。

「君、は…」

自然と伸びた手は彼女の額にひばりついた髪をかき分けて、そのまま頬に滑らせていた。

「…なに」

「君は、不思議だよね」

それに少し可笑しそうに瞳を閉じた彼女は、

僕の手に自分の手を重ねた。

「貴方の手は、暖かいのね」

「君の手は冷たいね…」

ひどく冷たく感じた手は、

あまりにも細くて、

「…あの子と同じだわ」

「あの子…?」

それに瞳を開いて、まっすぐ僕を見た。

「運命に選ばれた子、」

「選ばれた…」


   

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