運命の女神 | ナノ
貴方もその一人1/2
「ねぇ私たち、結婚しない?」
「結婚…?」
「私たちは運命でつながれているわ、一緒にいる意味があるのよ」
「……そう、かな」
「きっとそうよ」
多蕗君の心の中には、
今も桃果がいるわ。
私の心の中にも。
桃果に選ばれた私たち、
運命は回っているの。
きっと、一緒にいる意味がある。
一人、雨の中を傘を持って、歩く。
「…、」
前を見れば、
びしょ濡れの少女が立っていた。
「…貴方、どうしたの?濡れてしまうわ」
駆け寄って傘の中にいれると、
顔を上げて、私の顔を覗いた。
久しぶりの感覚だった、
もうこの感覚を味わうことはないと思ってた。
桃果の時と、同じだわ。
心臓が跳ねる、
熱いものがこみ上げる。
真っ赤なその瞳の中に輝く金色の光は、
もう頭から離れなかった。
「貴方…、名前はなんていうの?」
「…きっと知る必要のない名前だわ」
「知る必要がない?」
少女は止めていた足を動かし、
前に歩き始めた。
「…濡れてしまうわよ?」
「大丈夫」
追いかけようとした瞬間、
少女のすがたは消えた。
「…ファビュラスマックス」
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