運命の女神 | ナノ
ずっと前の初恋1/2
「なぜ、苹果ちゃんを助けたんだい?」
私の前には彼が立っている。
前と同じ瞳で、私を見る。
「それは苹果ちゃんが妹だから?」
「違う」
血縁は運命の輪に関係していない、
あの子の運命は違う、
違っていた。
「…あの子、死んでたわ」
私が運命を書き換えなければ、あの子は死んでいた。
「それは運命ではなかったのかい?」
「違う、あの子の運命は違っていた。」
「なぜ、変わったんだ」
細めていた瞳を開くと、
まっすぐ彼を見た。
「それは貴方が知らなくていいことよ、」
「…どうして」
「それを知るだけで貴方の運命は変わるかもしれない、強大な力、恐ろしいモノ」
「それを苹果ちゃんが持ってるってことか」
それにうっすらとした笑いを浮かべると、
彼の表情が変わった。
「…君は、変わってしまった」
変わった、
私は変わってないわ、
ずっと前からこうだった、
こうだったわ。
彼は瞳を閉じると、
私の横を通り過ぎた。
彼の運命は黒ずんでいるわ、
貴方なら、助けてあげられたんでしょうね。
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