曖昧 | ナノ

いろんな意味で犯罪
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「NO NAME」

NO NAMEの自室に勝手に入ると、

窓の外をじっと眺めている姿があった。

「…」

「いつまでスネてるつもだよ」

「エースには関係ないじゃん!」

なんだその顔は。

だんだんムカついてくる気持ちを抑えて

言葉を続けた。

「仲間だろ…………………一応」

「なんかちっさい声で一応って聞こえたんですけど!?えぇ?!仲間だよね!そうだよねぇ?!」

「だからそうだって、」

めんどくさい。

本当にこいつはなんなんだ。

面倒すぎる、

なんで勝手に飼育係にされたんだ、

「だってさ…ぁ…だってさああああぁぁぁ!!」

「分かったって…」

ため息を付いて、

自分より低いNO NAMEの頭の上にそっと手のひらを置いて、笑えば。

予想外の顔が帰ってきた。

「ナデナデなんか好き」

「まだナデてないけど」

NO NAMEは少し頬を染めて、

ふにゃっと笑った。

NO NAMEってこんな顔したっけ。

なんか、ツボかも……しれない。


「なんかエース顔赤いけど、どうかした?」

「なんでもないよ、」

「そう、じゃあさっそく隊長のストーキングに行きますかぁ!!」

それに苦い顔して見送った。

ストーキングってお前。

犯罪だ、あいつがストーキングって、

もう死刑に等しい。


ため息をつきながら部屋を出ると、

廊下ではナインが壁に沿って立っていた。

「なにしてるの?」

「べ、別にッ。NO NAMEは?!」

「あれ、さっき部屋出ていったけど、会わなかった?」

ナインがここでNO NAMEを待っていたのなら
絶対会うはずだけど。

「なんかすごい勢いで走っていく地球外生命体なら見たけどな」

「キング」

平然とNO NAMEに大して失礼なことをいうキングがこちらに歩いてナインに向かってそう言うと

ジャックは少し下を向いた。

「ならいいし、じゃあな!」

ツカツカと歩いていくナインをキングと共に見送ると、

なんだか胸の痛みに気づいた。

なんだ、コレ。


「…あいつもなんだかんだいって好きだよな」

「え、誰が」

「地球外生命体」

「……まぁ、素直じゃないけどね」

よく考えれば

そうかも。

いや、待て。

あいつ……のことが好き…??

笑えない、

笑えないほどありえない。


「…お前も素直じゃないよな」

「なんのことだよ」

それにふっと笑って、キングは横を通り過ぎた

「…?」

疑問に思いつつも、

まぁいいかと思って反対方向に僕も歩きだした。











「…俺もか」

キングが小さく呟いた言葉は
誰にも聞こえない。

心の声。



     

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