私 | ナノ

揺れる瞳は君のもの
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ゆっくりとベットから起き上がると、カーテンを開けた。

眩しい朝の光に瞳を細くすると同時にドアの開く音がした。

「マザー、」

「おはよう、今日は検診の日よ」

「おはよう。うん、分かってる」

それにマザーは頷くと近づいてきた。私は自分の手を差し出した。

マザーの長くて綺麗な手が私の指のリングに触れると赤い光が視界を覆う。

そしてやがて光は消えると、マザーは小さく笑った。

「あら、よくチョコボ牧場にいっているのね」

リングを通して全て見られる私の情報を見たようでマザーは笑顔を浮かべた。

「だってあの牧場にしか外出出来るところないんだもん」

そう言うと、マザーは少し考えるように頬に手をつけると。

すぐに口元は吊り上げられた。

「そう、じゃあ今日はクリスタルの検診ついでに魔導院に行きましょう」

「いいの?!」

「ええ、貴方のためだもの」

それに柔らかい笑顔を見せたマザーに思わず抱きついた。

ゆっくりと頭を撫でてくれたマザーの手は暖かかったが、

いつもここに来てくれる人のことを思い出した。

クラサメ、本当に来ないな

多忙だと知っているが、彼のいないこの部屋が少しだけ広いく感じることがある。

話すことはあまりなかったが、

彼がいるだけのこの部屋の空気が軽くなるような、

そんな気がしていた。






   

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