私 | ナノ
思い返すこと1/2
「あの化身の子さぁ〜結構可愛いかったよねぇ…」
「そうだったねぇ〜!」
「やっぱり化身なんだぁ…すごいなぁ」
「なに、ぼーっとしてるの?エース」
ケイトの声でぼんやりしていた思考が違うものに変換される、
「なんか最近ぼーっとしてること、おおいよねぇ…」
「なんか悩みとか?」
「いや…そうゆうわけじゃ、ないんだけど」
表面上だけの笑顔を作ると、なんとか自分の話から違う話に皆のトークは変化された。
だが、話の内容は自分の事ではなくなったが、
ぼんやりする頭の原因でもある話に変わってしまった。
「ねぇクイーン化身って前に存在してたんでしょ?」
「はい、もう500年も前の話ですよ」
「ご、500年?!そもそも朱雀化身って重要なのかよコラァ!」
ナインの言葉に少しため息をついたクイーンは、しょうがない、と言うように口を開いた。
「この国の化身はクリスタルと通じ会えるものであり、ルシさえも従える力を持つものです、簡単にいえばクリスタルと同じような力を持った“人間”でしょうか…」
「それってすごくねぇか!!!」
「そうです、だからあの戦争の時、どの任務よりも最優先されたのですよ」
クイーンの話通り、化身はこの国の大切な存在だ。
だが現状はその存在について、未調査なことが多過ぎる、という点。
どんな力を持つのか、どこまでが可能なのか。
また何に触れてしまうと危ういのか、未知の存在に等しい。
だが問題なのはそんな事じゃない、それがあの子だったということ。
僕の思考からいつまでたっても消えてくれないあの子、
もう、あの子には会えないんじゃないだろうか。
そう思う自分がいる、思いたくないのかもしれない、
何かを信じているのかもしれない。
僕は一体何を考えている、何がしたい、
ふわふわと揺れる収まるところが分からない気持ちは、
まだ心の中を迷ったまま。
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