私 | ナノ

名前を呼ばないでくれ
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「ッ……、」

苦しい、

胸が、熱い…。

痛い、心が、

「やはりクリスタルの影響を受けているわ、
ジャマーの影響でしょうね…」

「では…」

「ええ、訓練は中止よ…まったく、何を考えているんだか」

ドクターアレシアが強く言い放った言葉、
そしてアレシアの手が伸びると、

ベットで横たわる、赤い頬を撫でた。

「NO NAMEは戦うルシではないのにね」

「…、」

そう、なぜ上はこんなにもNO NAMEに戦うようにするのか。

今は戦力不足、それはわかるが

これではクリスタルを素で出しているようなものだ。

そんなに上はバカではないはず。

「じゃあ貴方がいてあげて。」

「はい、」

ドクターアレシアは伸ばしてた手を引っ込めると

部屋の出口まで歩いた。

部屋のドアを開けて、ドクターアレシアが通り過ぎるのを待っていると、

ちょうど目の前でドクターアレシアの足は止まった。

「なにか…?」

自分に向かいあったドクターアレシアに疑問を浮かべると、

煙管を一度口に含んで、煙を吐いて、

口を開いた。

「貴方……NO NAMEの事どう思ってるの?」

その言葉に顔を歪めたが、

ドクターアレシアの表情は変わらなかった。

「貴方のしてること、色々知ってるけど……
本気じゃないならあの子に関わらないでちょうだい」

すっと手が伸びてきたと思ったら、
人差し指で首元をつん、と突かれた

「……はい。」

それに一礼をすると、部屋からドクターアレシアは出ていった。

それを見送ると、

部屋のドアを閉めた。

ガチャ、と音を立てて厳重にロックされた部屋は
簡単には空かない仕組みだ。

「…ッ、」

苦しそうな声が聞こえた。

小さな叫びだったが、

なんだか心に響く…、

「NO NAME、」

NO NAMEの近くまで行くと、

赤くなったNO NAME、

ゆっくりと瞳は開かれると、

ぼーっとした顔で視線はこちらを向いた

「クラサメ、」

いつもよりひどく弱々しく放たれた声に

胸の奥の糸がだんだんと切れていくような気がした、

自然に手はNO NAMEの頬に伸びると、

熱い体温が身体に伝わった。

「…寝てろ」

「やだ、」

まるで幼い子供のような顔をして、

首を小さく降ったNO NAMEに

胸が高まるのを感じた。


「治らないぞ」

「クリスタルが元に戻らなければどうせ私も治らない、よ…」

確かにそうだが、その間体力が削られるのは確か。

「いいから寝てろ」

「………やだ…」

するとNO NAMEの頬に一筋の涙が流れた、

「……NO NAME?」

「ねぇ…なんだか切ない、」

「…、」

「わかんないの、なんでだろ…う」

ポタポタをこぼれ落ちる涙は止まらなかった、

ダメだ、


苦しい、

胸が締め付けられる、


もう、溢れてしまいそうだ。



「…泣くな」

手をさし伸ばして熱い頬を流れ落ちる冷たい雫を拭うと、そのまま唇にゆっくりと触れた。

熱い、

NO NAMEの瞳はいつもと違っていた、

やけに熱を帯びた瞳で、自分を見る。

なんとか押さえつけていたものが

噴火しそうだ



すぐ顔を離して、マスクを付け直すと

そのまま部屋を出ていこうと反対に体を向き直すと

ふいに手を熱いものが触れた。


「やだ…いかないで………」


やめてくれ、

違う、


「一緒にいて……寂しいよ…」


お前は私を必要としてない、

たまたま近くにいたから

たまたまずっと一緒にいたから


「……ッ…クラサメ」


きっと私を求めているんじゃない、

自分の名前が呼び終わる前にマスクと上着を脱ぎ捨てていた、

引っ張られた手を握り返して、NO NAMEの上に乗った。

熱い、

熱い…。

NO NAMEの頭の両側に手をついて何度も何度も唇に触れる。


「ふっ…は」

NO NAMEの半開きの口に舌を割り込ませると
絡めとっていく。

何もかも熱い…、

苦しかったのが、自分の胸いたをぐっと押し返すNO NAME、
唇を離すと、さっきよりも赤いNO NAMEの顔があった。

「…辛いだろ」

「辛くない…今日はずっと一緒にいて」

もうウンザリだ。

お前が私のバネを外す。

私に本当の気持ちなんかないくせに…、


「クラサメ」

NO NAMEの首に顔を埋めると、

唇を落としていく。



「うっ……、」

鳴き声が聞こえた

NO NAMEの頬をまた涙が流れていた


「泣かないでくれ」

舌で涙を舐めとると、NO NAMEは顔を上げて
私の唇にそっと触れた。

もう一度、触れ直すと、

NO NAMEは身体を起こした。


「どうした、」

彼女を見ると、赤い顔で切な気に笑った。

NO NAMEの太ももらへんに乗っていた私に抱きつくと、

そのまま倒される。

「NO NAME」

さっきまでの状態が反転したように

NO NAMEは上から私を見下ろしていた、

NO NAMEの腰に手を回して、引き寄せると

熱いNO NAMEの身体がすっぽりと埋まった。





「クラサメ…っ…」




切ない声で

名前を呼ばないでくれ。


きっと君は優しいから、
いつだって受け入れてくれるけど。


自分を抑えられなくなる


     

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