私 | ナノ

震えていた
1/1



朱雀が皇国に攻められた、

魔法を使えるのは僕たち0組だけ。

そこで僕たちに任務が与えられた。

白虎のクリスタルジャマーを破壊、

それと朱雀クリスタルの化身の捜索。

ジャマーは破壊したが、白虎のルシに逃げられた。

「…化身、」

「クリスタルの化身、それってとっくの昔に死んじゃったんじゃなかったっけ?」

シンクは戦いながらそう呟くと、

クイーンの言葉が響いた。

「軍が言うんですから新しく化身が生まれたのでしょう、」

「でも俺たちはその化身様をみたことねぇじゃねぇーか」

「探しようもないな、」

「なぁエース、って聞いてんのかよ」

「え、あぁ」

あの子、大丈夫かな。

僕の頭の中で浮かび上がるのあの少女のことだった。

今の時間に牧場にはいないよね、

でも…もし、いたら。

この戦争に巻き込まれるかもしれない。

「ちょ、どこに行くんです?!エース!!!」

気づいたら走り出していた。

頭の中は彼女のことでいっぱいになって、

心配で、しょうがなかった。

魔方陣を使って移動すると、

牧場でチョコボ達の声が荒々しくなっていることに気づく。

白虎軍がいる…、

牧場のチョコボが収められている建物の上に上がり、

辺りを見回すと、

動く瞳が止まった。

「…い、た」

彼女はいた、

だが彼女の目の前にいるのは、

あの白虎のルシだった。

「ッ…!」

建物の上を駆け出し、勢いよく飛んで

ちょうど彼女の前に着陸した。

「貴方、は…」

後ろから彼女の声が聞こえた、

カードを構えると、ルシに向かってカードを突き出す。

「…最悪」

「……」

緊迫した空気だった、

あのルシが少しでも動いたとたんに魔法を使う

そう考えていた時、

後ろからクイーンの声が聞こえた。

「クリスタルの化身、はい、見つけました。」

「保護するぜ」

気づけば皆の姿、

「おいエース、そいつが化身だってよ」

「…え、」

振り向けば、彼女の表情は濁っていた。

なんだか困ったように笑った彼女、

笑ってない、

悲しんでる……?


「NO NAME!」

先ほど無線で連絡をとっていた、

新しい0組専属の試験官と同じ声が聞こえた。

「クラサメ…ッ…!」

彼女はクラサメ、そう呼ばれた男のもとに駆け寄っていった。

「さぁエース、戦いますよ」

「…分かってる。」

ただ少し、

あの男の横で安心したような表情を見せた

彼女が少し気になった。
















「クラサメ、見つけたわ、やっぱりチョコボ牧場だったのよ」

「!」

エミナの言葉と同時に

足は動いていた。

早く、あの牧場へ。

魔方陣を使って、牧場まで急ぐと、

朱いマントがチラホラ見えた。

「0組…、NO NAME!」

候補生と混っていた姿、

そこにはNO NAMEの姿があった。

「クラサメ…ッ…!」

こちらに駆け寄った彼女の安否を確認すると、

胸が安らいだ気がした。

そして白虎ルシの姿。

「やはりNO NAMEを狙ってきたか」

後は0組に任せよう、

私がいても邪魔になるだけだ。

NO NAMEの手を引くと魔方陣まで駆け出した。

「…クラサメ」

「もう大丈夫だ、」

「うん…」

なんだか彼女の手が、

震えていた。



     

[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -