私 | ナノ

世界とクリスタルと私
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肌に冷たい風が触れた、冷たいのに、なんだか心地よい感覚だ。

ひんやりとした空気の窓から顔を出して空を見上れば変わらない空があった

夜空に星がきらめている。綺麗な空なのに、なんだか切ない。

すっと冷たい空気を身体の中に吸い込んで瞼を下げようとした時、

部屋のドアのロックが空いた音がした。

深い音を立てて開いた扉は彼の仕業だろう

部屋に歩み寄る足音が聞こえたが、夜空を見上げる視線は反らさなかった。


「…クリスタルの様子は」

「変わらないよ」

視線を向けずに言葉だけ返すと、彼の足音は近づいてきた。

ふいに伸びた手は冷たい風の入口を閉じた。

それに顔を心底不愉快そうに歪めると、ため息が聞こえてきた。

「風邪ひくぞ」

「…いいもん」

それはクリスタルに影響が出たら困る、

そういう意味で、私の欲しい答えじゃない。なにが欲しいのかはもう忘れてしまったけど

「脱走したらクラサメの首飛ぶかな」

半信半疑で言った言葉にいつもより険しい視線を感じた

それにようやくクラサメの顔を見上げれば、やはり険しい表情があった。

「嘘だよ……」

きっとクラサメは自分の首が飛ぶのを恐れているんじゃないんだろうけど

「逃げられるわけなんかないもんね」

もう確定されてしまった答えだった、

もう歪まれるはずのない、答え。私の意思関係とか関係なく

窓際に私の身体がゆっぽりとハマる場所から立ち上がって、

ベットに座ると、クラサメを見上げた。

「ねぇなんのために、この世界は存在するんだと思う?」

私の質問に歪んでいた表情が一層険しくなった。

「わかるのか…?」

「わかんないよ」

ふっと息を吐き出して笑えば、クラサメの表情は和らいだ。

こちらに近づくと、ゆっくりと手を伸ばして私の頬に触れた。

手のぬくもりを感じるように瞳を閉じて、また開いた。

そこにはマスクを外したクラサメの姿があった、右頬には痛々しい火傷の痕がある

もう慣れてしまったけど、最初見たときはなんだかその傷がひどく切なく写った。

ふいにクラサメの顔が近づくと、唇にゆっくりと柔らかいものが触れた。

頬にあった手は私の肩を軽く押すと、身体はゆっくりとベットに倒れた。

ギシ、とベットの響いた。私に覆いかぶさったクラサメを見つめると、

緑色の綺麗な瞳が細まった。薄い笑みを浮かべたクラサメ。

何度も触れ合う唇、半開きになった口に生暖かいものが侵入してくると、

そのまま絡み合う。

「はっ…」

苦しくなった呼吸、なんとか息を吐き出して、再び降り注ぐ行為を受け入れた。



クラサメは私を愛してない。

こうゆう行為も、

なんだか分からない。



自分がなぜ存在するのかも、

分からない。











     

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