私 | ナノ

頬が熱い
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「チョコボで癒されたかしら?」

ベットに横たわる、私の頬を撫でたのはエミナだった、

優しげな表情を浮かべて、

私を見下ろしていた。

「あ、うん…可愛かった」

「よかったわ、あの場所ならクラサメはいつでも行っていい、って言ってるけど」

「本当に?」

「夜、だけね」

「あ…そだね」

思い出した、あそこで確か青年と会った。

朱雀兵の朱いマントの青年だった。

正体を聞かれたが、彼は結局何も聞かなかった。

「それで…、」

エミナは言いにくそうに顔を歪めた、

それに少し笑って、私から口を開いた。

「…私は貴方を戦いにさらけ出すなんて、反対だわ…外に少しでも出られるようになったのはいいけれど…。」

戦い

私は、戦いを知らない。

人の死も、知らない。


だけど、死ぬことは辛いことなんでしょう?


戦争とは、どんなものなのか。

少し興味がある部分もあったけど、

結局私は利用されるだけ、なんだ。


「いいの、じゃないと私、ここにいる意味ないから」

「…NO NAME、」

エミナが言葉を続けようとした時、

部屋の扉が開いた。

「マザー、」

「NO NAME、聞いてると思うけどこれから貴方の中にある魔法を調べさせてもらうわ」

「うん、」

マザーがさし伸ばした手を、

そのまま取った。




















「…なにしてるエース!」

「!」

自分に襲いかかる皇国軍を慌てて視界に入れると
カードでなぎ払った。

息を吐くと、ナインが呆れた顔で近づいてきた。

「なにしてんだよ、ぼーっとしてさ」

「いや…ごめん。」

魔導院に戻って、誰もいない教室の中で窓の外を眺めた。

熱い、

あの時に触れられた頬が熱い。

柔らかい感触がしたと思ったら、

彼女の唇が頬に触れていた。

思考が停止した気がした。

こんなことをされたらすぐに引き離して、

抵抗できたのに。

それができなかった、

カードも突き出すことも、できなかった。


彼女は一体、何者なんだ…。


なんだか懐かしい感覚を覚えた、

チョコボ牧場に行ったら、

また会えるだろうか。

気づいたら足を進めていた。

魔方陣で牧場に移動すると、やはり夜空には月が浮かんでいた。

前も、こんな時間帯だった。


チョコボがいる所まで足を進めると、

一匹のチョコボが横たわっていた。


近づいてみると、あの少女がいた。


横たわったチョコボにもたれかかって、瞳を閉じていた。


「眠って、いるのか…」

かがんで、顔を見れば、規制正しく寝息を立てていた。

こんな所で、しかも寒空の中よく眠れるな…


「…、」

ひと目に入った彼女の体の傷、

前にはなかった、傷。

白い肌だった彼女の皮膚には所々擦り傷や、

痣、切り傷があった。


一体、どうして。


無償に気になった、

無意識に差し出された自分の手は彼女の頬に触れると、ゆっくりと頬を撫でた。

「!」

彼女の瞳が開かれた。

長いまつげが広がる。

慌てて手を引っ込めると、彼女と目があった。

「…」

大して驚いていないような彼女の瞳は、

なんだかぼんやりとしていた。

「……風邪、ひくよ」

「…ん、別にいいよ」

「よく、ないと思うけど」

そう言うと彼女はチョコボを撫でた。

「あったかいの、チョコボ」

ゆっくりと再び瞳を閉じた彼女は、

「あ」

と声をあげると、手をさし伸ばした。

「…」

「手、貸して」

顔を歪ませたが、また無意識に手は彼女の手をとっていた。

その瞬間視界が揺らぐと、

近くに彼女の息遣いを感じた。


「!」


「このほうがあったかい」

チョコボに寄りかかる彼女に正面から抱きしめられていた。

「ちょ…、」

「少しでいいから」

触れた腕から彼女の体温を感じた。

冷たかった。











なんだか、鼓動が早い。


     

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