私 | ナノ
23022/4
窓から外の景色を除けば、綺麗な青空の下で戯れる人々が見えた。それは幸せそうな笑顔を浮かべていて、思わず笑みを零す。
「・・・化身様、聞いておられるか」
「だからもう化身ではないの、力は残ってない・・・それに、貴方達も気づいているでしょう」
広い部屋の中、後ろにいたセツナとシュユと姿。二人は前と変わらず、私に対して腰を下ろしてこちらを見上げる。
「・・・もちろんですよ、徐々に失われつつある力が証拠」
シュユの瞳が細まるとセツナは小さく唇を動かして、しっかりと私を見た。
「その時は、私たちは命を落とすでしょう」
「私はルシが嫌い」
朱雀のルシだけではなく、全てのルシが。どうして使命を全うしようとする、どうしてクリスタルのために命を落とす。
分かっていた、それがこの人たちの望んだ答えであることを、一瞬柔らかく微笑んだセツナに瞳を見開いた
「・・・本当にそっくりで困る」
少し切なさの混じったセツナの言葉に、シュユも少し驚いているようだった、セツナと同期に存在していた先代。
あの赤い髪の綺麗な男性は、私に勇気をくれた。自分からとどまることを選んだあの人
一体どんな想いを抱えて留まることを決意したのだろう、数え切れない苦しみや辛さが私以上便あった先代様を誇りに思っている。
セツナも同じだろうか
「私たちの使命は貴方様をお守りすること」
「・・・クリスタルが滅びようとしている今でも、それは変わらないの?」
クリスタルの消滅、徐々に力を失い始めているクリスタル、焦りを見せた上の者たちは私を再び囲ってクリスタルの消滅をく止めようとしたが。
それはどの国のクリスタルも同じ、止めることなどできない、そして私はクリスタルの意思を伝える意義がある。
魔法に頼らない国になりかけているこの国を、しっかりと支えていかなければならない。
この小さな命のためにも。ドクン、ドクンと小さく心臓を動かす音が聞こえてくる。
「滅びる瞬間まで・・・、そしたら私たちは報われましょう」
その意思のこもった言葉に、首を横に振ることはできなかった。彼らも同じ、決意を持っているのだから。
← →
[しおりを挟む]