私 | ナノ

2002
2/2



いつのまにか眠りに落ちていた、窓辺の壁に寄り添っていたNO NAMEは

ゆっくりと瞼を開いて、息を吐き出した。

そして部屋を見渡すと、近くのイスにクラサメの姿があった。

マスクは外されていて、小さな寝息をたてている彼の姿。

どれくらい、時間がたったのだろう。

「…、」

NO NAMEは立ち上がると、ゆっくりとクラサメに近づいた。

手を伸ばして彼の頬に触れる、離そうとした時、それを拒むように掴まれた腕。

いつのまにか瞳を開けていたクラサメ、緑色の瞳と目が合う。

腕を掴まれた手は自然と、その手と絡み合っていた。

イスに座っているせいでクラサメより少し高い位置にあるNO NAMEの目線は、

クラサメを見下ろすと、瞳を細めた。

「…私ね、クラサメがいなくちゃ、ダメ…なんだ」

クラサメは瞳を丸くすると、絡んでいる手を引き寄せて、NO NAMEの体ごと、

自分の身体に収めた。

イスに座っているクラサメの膝の上に落ちたNO NAMEの腰、NO NAMEはクラサメと向かい合うような体制になっていた。

「…近くに、私しかいないからそう思うんだ」

「違うよ…、」

エースでもクラサメと同じ感情を抱くことはない、それは確信していた。

だってこれは確かな恋心なのだから。

「止められないんだ…抑えられない、」

「うん…」

「優しさで受け入れられるのは、嫌なんだ…、」

NO NAMEは近くにあるクラサメの唇にゆっくりと触れると、そのままクラサメを抱きしめた。

「優しさじゃないよ」

「…は…っ、」

クラサメ熱い息が溢れた、そのまま再び唇が触れると、熱いものが口の中をかき乱す。

抱きかかえられて、ベットへ落とされると、クラサメの身体は覆いかぶさるようにNO NAMEに沈む。

熱い、熱い、手が、熱い、身体が、熱い

今まで以上に感じる思いと、体温が重なり合う


「ずっと、一緒にいてね…っ…」


その言葉にクラサメはただ微笑みを浮かべるだけだった。








   

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