私 | ナノ

思い返すこと
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「エミナー…水」

「はいはい」

なんだかだいぶスッキリした頭を起こせば、エミナが持ってきたコップが差し出された。

冷たい水を喉に流せば、乾いた喉も少しは潤った。

「だいぶ良くなったわね」

「うん、」

熱を出してから三日、だんだんと調子が戻ってきたということはクリスタルも元に戻ってきたという事になる。

訓練もしばらく休みだし、なんだか慌ただしい毎日からまたあの平穏すぎる毎日に戻ってしまったかのようだ。

あの日が恋しいわけじゃない、今のほうがなんだかいい感じがする。

ずっと前に確定された答えは変わらないけれど、

まだ自分に何かが残っているような気がして、

「そういえば…来てないね?」

「え、あぁ」

そういえば、熱を出した日、不安定だった日からクラサメの姿が見えない。

いつもは瞳を細めてどこか優しい表情をして、触れ合うクラサメの表情が

なんだか切なかった。

涙で歪んでいた視界だけど、しっかりと感じた彼の変化、

それでも私はなんだか恐かった、

一人ではないと実感したかった…、何をそんなに怖がっていたのかはもう覚えてない

でも、胸の奥から大事なものが抜けた感じがする。

「どうしたのかしら彼、いつも必ずここに来るのに」

「忙しいんだよ、」

仕事が増えたと言っていたし、新しく指揮官になったと聞いていた。

でも彼もエミナも元は私の監視役だ。

エミナがいれば来る必要もなかったのだが、

彼は毎日顔を出してくれた、話をするわけでもなかったけれど、

なんとなく彼と一緒にいるのが心地よい、そう感じていた。



そうだ、初めてクラサメと会ったのはもうだいぶ前だった


エミナが監視役になる前に、クラサメは私の監視役となった。

ちょうどあの事件が起こった後、ずいぶんと心をなくしていた頃だった。





彼と一緒にいた時間は、

なんだか優しい気持ちになれた。







   

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