ピンポーン


「真哉か?」

「俺でるよ」



ガチャ






「真哉、遅かったな」


入って、と扉を大きく開けた


「ごめんね。同室の子も一緒でいい?」



さっき、話してた奴かな?


後ろから俺と大差ない身長の奴がひょっこり出てきた




「俺は吉田春-ヨシダ ハル-よろしく」

「あぁ、俺は田中「憂ちゃんでしょ?」

「え?あぁ、」

「真哉から良く聞いてたから」



嫌みのない笑顔だ。
こいつは良い奴だな
平凡顔だし!



「そっか。憂で構わないよ」

「そう?じゃあ俺は春でいいよ」


よろしく、と言って握手をしていると横から真哉が入ってきた




「春ちゃん名前で呼ばせるとかめっずらしぃー!」

「うるせ」

「ははっ、まぁ入れって。春も食べていくか?多めに作ってたから大丈夫だぞ」

「じゃあいただこうかな」

「おっじゃましまーす★」



春と真哉が加わってリビングはたいそう賑やかになった
怜が既に食べていたことに真哉は口を尖らせていた






「えー!憂がユウなのっ!?」

「あぁ、まぁね」

「春ちゃん言っちゃ駄目だからねー!」

「わかってるよ」




これから友達…になる奴に秘密は出来るだけしたくないから

春にはユウであることを言った

春は顔は平凡であるが結構強気というか…ツンツンしているようだ
ところどころ、驚くほど強い


「真哉のが口軽いじゃねえか」

「はあ?春ちゃんのが軽いでしょ?」

「は?俺が口軽いとか勘違いも甚だしいよね」

「はっ、お前何言っちゃってんのー?」



…2人は仲悪いのか?



怜をちら見すると怜は完全にシカトしていた




「んだと?」

更に喧嘩がヒートアップしそうになったとき



「もういい加減にしろ。」


「怜…」

「うるせーんだよ。喧嘩なら余所でやれ」



怜が怒った。



「、怜?」

「はーい。じゃあ憂ちゃんごちそうさま。美味しかったよ」

「憂、安心しろ。俺絶対言わないから!」



真哉は素直に立っていった
春もビビる様子を見せずに

すごいなぁ。
こんな不良みたいな顔してる人に怒られたら俺はこんなに通常状態でいられない。
現に、俺が怒られているわけじゃないのに少しビビっている…


「あ、あぁ。ありがとう」


騒がしい2人が去った後はかなり静かだった




「チッ。あいつ等まじうっせー」

「でも明るくて楽しかったしさ」

「…」


少し不満そうな顔



「…な?」



「はぁ…行く準備するぞ」

「お、おう!」





その後迎えに着た真哉と春と四人で学校に向かった

学校に向かう途中何人もの生徒にちらちら見られてたまに悪口が聞こえる

誑かすや弱みを握るなどの単語が聞こえるがどうゆう意味なのかいまいちわからない

だが、確実に俺に向けられているのはわかる





「大丈夫か?」



春が心配そうに声をかける



「おお!」

「チッ、うざってぇ。散らすか?」

「いーねぇ。憂ちゃんを悪く言うなんて許せないし!」

「俺のためを思ってくれるのは嬉しいんだが…」

「駄目?」


真哉が目をうるうるさせながらきいてくる
俺は、これに弱い



「っ…だ、駄目だダメだ…。」

「ちぇー作戦失敗ー」


「そんなことやってからネコだと想われるんだよ」

「うっさいよ」

「…」



春と分かれて教室に着いてドアを開けるとシーンと静かになった



「…」

え、気まずっ


「気にするな、憂」

「感じ悪いね」



机に着くと マンガみたいな落書き等はなかった


「…良かった」


机の中に手を突っ込むと手紙があった




「?…、」

開くと










『忠告をしたはずだ』







やばい。
親衛隊が動き出すかもしれない



「どうかしたのか?」


机に座ってすぐに固まった俺に怜が心配そうに聞いてくる




「いや、教科書たちも無事みたいだ」


心配はかけたくない


「そうか、良かったな。あいつ等もそこまでバカじゃないってことか」



真哉は席が離れてるうえに人気者で教室に着くとすぐに人に囲まれている

怜は威嚇をしているので人が周りに来ることは滅多にない

要するに、怜は恐れられてるんだな




「おら、席つけ」




担任がきた
ホストまでとはいかないが少々ゆるい恰好をしていて顔はイケてるメンズ
というのが俺が思う印象



名前は、森田 朔-モリタ サク-



「今日も格好いいですね!」
「きゃー」
「抱いてくださーいっ」


席が前の明らかネコの奴らは媚びを売る


「うるせー黙れ」


鶴の一声…に近い感じで先生は黙らせた




本物の鶴の一声は帝さんだと俺は思っている

帝さんには敵わない


静かになったところで先生が話し出す




「これから新歓の話するぞ」







あぁ、そうか
もうその時期か。

[新歓]とは新入生歓迎会の略称だ

これはわかるだろう












「今年のゲームは当日に生徒会から話があるからそれを聞け。例年同様に、あまり調子に乗るな。問題はおこすな。俺に迷惑をかけるなよ。以上SHR終了。一限目の用意しろー」



一通り話すと先生は教室から出ていった



さて、

新入生歓迎会といえば普通の学校は普通に体育館で済ませる
内容も普通に部活動の紹介を個々にやる
みたいなのが普通だ



ここは 普通じゃないんだ