ずっと探していたユウを見つけた。


まさか、この学園にいるとは思いもしなかった。やっと見つけた捕まえなければもう二度と会えないんじゃないかと思い始め俺は急いで腕を掴んだ。そしたら、思いっきり腕を振り下ろされた。

俺は、歓喜した。それは、俺がユウに教え込んだことだったから。

俺は期待した




振り向いたそいつはやっぱりユウ

相変わらず綺麗な澄んだ目をしていた。その瞳に俺が映るのはいつぶりだったんだろうか……。


あのままでは目立ってしまうので俺の部屋に連れて来た。聞きたいことが山ほどある。

とりあえず名前とクラスを聞こうとした時、ユウの電話が鳴った



俺が許可するとユウはすぐに電話に出た。相手の誰だかわからないでかい声が携帯から聞こえるので、どうやら学園の奴らしい。

相手の奴はびっくりしているのだろうことが電話越しの声でわかった。
それはそうだろう。俺の部屋に一般生徒がきているのだから。


それがどれほどの意味かを、ユウは知らない。
お前の存在が、俺たちの中でどれほどのものかを。




『―――』

「なに?」


落ち着いたのか相手側の声が聞こえなくなった


『―――』

「っ!!!!!」


途端に血相を変えたユウ

なんて、言ったのだろう…ユウがあんなに表情をくずすなんて、よっぽどのことだと思うと何か気にくわなかった



電話が終わったユウは勢いよくこっちを向いたかと思うと思わぬことになった


「す、すみません!俺ちょっと帰らないとやばいんで帰りますね!!」

「え」


聞きたいことがたくさんあるし、まだ逢ったばかりなのに…!


「まじすみません!今度逢えたらゆっくり話しましょう!!」

「おい!まっ、」





バタンッと音を立ててユウが部屋を出た。



久々に逢えたのに…探しても探してもいなくて。

苛立ちだけが毎日積もって、誘ってきた奴は全部食った。この喪失感を埋める手立てが思いつかなかったから…。ユウだと想って抱けば満たされるかと想ったんだが…駄目だった




この喪失感を埋めてくれる奴なんてやっぱいなくて


ユウじゃなきゃ駄目だ。……なんて、ちょっと昔の俺じゃありえないことになっていた。






「…今度って…いつ逢えるんだよ…!」


悔しそうな声がこの広い部屋に虚しく響いた









帝さんの部屋から飛び出して、俺は必死で走った。


そして必死にエレベーターのボタンを連打した。だからって早く来るわけじゃないのはわかっていたが気休めに連打した。


チンッ


「おっせーよ!!!!見た目ばっかで中身は糞だなっ!」


俺はエレベーターに完全なる八つ当たりをした。
だって、本当に、遅いんだ。


この時俺は必死すぎて気づかなかった


帝さんの部屋から出たとこを誰かに見られていたなんて


「三階に早くいけ!」



俺がここまで必死な理由…それは、先ほどの電話


怜は『今から5分以内に帰ってこなかったらこの眼鏡とはさよならだな』なんて言いやがった


あの眼鏡がなかったら俺は昼に外に出れない。もう一回作るのはお金がかかる。
そしてあいつはこの16年間を共にした相棒だっ!


そいつをあいつは今破壊しようとしている。それだけは、阻止しなければ!






言葉の通り、憂は死に物狂いで自分の部屋に戻った。バタンッとけたたましい音をたてて自室に入った。


「ま、間に合ったぁ…」

「おかえり、憂」


無駄にいい笑顔で玄関に立っている同室者。


「はっ…はぁ……っ怜!てめぇ!眼鏡返せ」


笑顔で迎えた怜を殴りたくなった。そして怜の手の中に収まっていた眼鏡を取ろうとしたらひょいと避けらた。

しかももう一方の手で捕まえられた


「はなせよ」


自分より高い位置にある怜を睨んだ。怜は俺の目をみて問うた。


「憂、生徒会長と知り合いか」


咎めるような問い


「…まぁ」

「なんで」

「言う必要はないだろ」

「お前、俺にそんなこと言っていいのか?」


ニヤリと笑みを浮かべた怜は眼鏡を持っている手に力を少し込めた。


「あぁっ!待て!わかった!言うから眼鏡返せ!」


ピキッって絶対いってる!壊れる!割れる!!


「言ったら返す」

「……」

「なんか言えないようなことがあるのか?」

「いや、別に」

「だったら教えろ」

「わかったよ」


俺は怜に昔の話をした。2人が俺を助けてくれたこと。それから関わりを持ったこと。

そして、叔母が帝王、いや、帝さんと副会長から俺を遠ざけようとしたこと。


「と、ゆーわけ。満足?」

「そう…か、……なんか…わりぃな」

「本当だよ。眼鏡返せ」

「はい」


きっと怜は両親がいないことを俺に話させたことを後ろめたく思っているのだろう。別に気にする事じゃない。

俺は叔母夫婦は嫌いだ。叔母夫婦も俺のことは嫌いだ。俺はこの学園に入ったことを後悔してない。


特に、今日は……、きっとこれからもしないと思う




それは、帝さんとマサさん

それに怜たちのおかげだと思っている


両親の次に大切な人だ








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