――――…これが二人との出会い。


あれ以降、俺は暇ができたらすぐに電話をし、2人に電話してどちらも出なかったということはなかった。



帝さんには2回くらいしかかけてないけど…



雅さんと帝さんは俺の目を綺麗だと言ってくれた。
他人に言われたのは初めてだったからすごく嬉しかった


2人とも髪もきれいだと言ってよく撫でてくれた。それは俺にとってすごく嬉しいことだった



会えば甘えた。人に甘える方法を、俺はわからなかったけどスキンシップの激しい人だった上に俺の変化にすぐ気づく彼らには甘えられた。
電話だけの時もあったけれど、それでも彼らは甘えさせてくれた。

すごく。うれしかった




一回だけ黒龍の集まりに行ったこともある



俺が電話したら丁度集まりだったらしく会うのは今度にしようとしたのだが会いたいと言われて会うことにした時


そこで帝さんに喧嘩の仕方を教えてもらった


対強姦魔用らしい…。なんで、俺が。と思ったが…まぁ、初めてあったときがあんなんだったから…なんも言えない。


でも俺には力がないので避けることと隙を突くことを徹底した。数回教えてもらう機会があり結構学んだ。雅さんは吸収が早いと誉めてくれた。


家にいるより雅さん達と話してる方が楽しかった


叔母さん夫婦のあの居づらい家なんかよりずっと




そして、雅さんと帝さん達と定期的に夜に逢ってることに気づいた叔母が俺を引き離すように全寮制のここに入れられもう雅さん達に逢えないななんて思っていた。





だが、この学園に雅さんがいた







希望が見えた






叔母さんは不良チームと俺に交流があったのが嫌だったらしい。世間体を気にする人だったので仕方のないこと。

だからこんな馬鹿でかい学園に入れられたんだろうな。



でも、ここには雅さんがいる






「俺、ついてるんだなぁ」

ルンルン気分でコンビニに向かっていると共同スペースにいた人達にジロジロ見られた。

なぜだろう…この目か?髪か…それとも両方か……。そう考えると少し気持ちが落ちた


すこし経つと後ろで「キャアッ」という黄色い声がしたが関係ないと思い気にしていなかったら急に腕を捕まれた。



外そうと力の限り腕を下にふった。


帝さんに、腕を捕まれたらすぐに力の限り降れば外れる可能性は高いから捕まれたらやれ。というか、お前は捕まらないようにしろって、良く言われていたから。いきなり腕をつかまれたらこうする癖がもうついた。




「っ!」





思いっきり腕を降ったが、外れなかった


外れない……なんで…どうしよう、と思った時俺の腕をつかんだ奴が叫んだ


「ユウ!!」



俺を呼ぶ声


掴んだのは帝さんだった


「テ、帝さんっ!?」

「、ユウ…お前」


いきなりの帝さんの登場に俺はびっくりした。


――なぜ、ここに


しかしこの思いは帝も同じだった。驚いたような、なにか言いたげな、そんな表情だった。



外野がざわつき始めた

『ユウってあの?』
『帝様かっこいいー』
『あの綺麗な人誰だろう』


「チッ、場所を移そう」

「うぇ?あっちょっと」




帝さんは俺の腕を掴んだまま歩き出した。すぐにエレベーターに乗って帝王がボタンを押した。


「帝、さん?」

「ここでは帝で」

「み、かど?」


それが本名なのだろうか


チンっと扉が開いてスタスタと帝さんが行くので転けないように必死で着いてった。



「着いたぞ」

「え?」




その扉の横には『藤堂 帝』の文字。
ほかに文字はないということは一人部屋…


つまり、それは生徒会を意味する

俺が呆然としているのに構わず帝さんはカードキーをスライドさせ鍵を開けた




「ほら入れよ」

「はい…」



入るとかなり豪華な広さだった。さすが、生徒会


「…広っ」

「そうか?」

「はい」

「そんなことより、だ」


帝さんがこっちに向き直った
真剣な帝さんの顔


出来れば俺が田中憂という生徒であることは隠したい。

黙って来てしまって帝さん達は怒っているかもしれないし…そのことを謝罪する気持ちの準備はいままだできていない。そして、彼は役持ち。田中憂は平穏に過ごすと決めたのだから


「お前、この学園の生徒だったのか?」

「はい、一年生です」


俺的には帝さんたちがこの学園の生徒だったこともびっくりだったけども。
全寮制なのに良く出れたなぁ…


「なんで、音信不通になった?」

「……すみません。携帯が…なくなっちゃって新しいのに雅さん達の番号入ってなかったし…この学園、全寮制で…」


連絡を取らないようにと叔母が解約して新しい携帯与えられてしまったので連絡のつけようがなかった。しかもすぐにこの学園の中等部への転入を決定していた。


「この学園にいたって知っていたら…」

「すみません…」


探していてくれていたのだろうか…。
もし、俺がもっと強い人間だったら、ここで謝って連絡先と、クラスと名前と言って…それで前みたいにいっぱい…甘やかして…。


「いや、いいんだ。それより」

ヴーッヴーッ


俺の携帯が鳴った

「あ、すみません」



ディスプレイを見ると、そこには


『愛しの怜様』




「…」

あいつ勝手に携帯いじったな……ったく、いつのまに……。風呂入ってる間か?
にしても、この登録はないだろ


「電話、出て良いぞ」

「すいません」

『憂!どこにいるんだ』


帝さんに許可を貰ったので出ると、いきなり大声で怒鳴られた。
多分、帝さんにも聞こえてるくらいうるさいんだろうな。


「帝さんの部屋だよ」


隠す理由も見あたらなかったので素直に言った。


『帝?もしかしてそれ生徒会長かっ?』

「……生徒会ではいるみたいだけど…」


え、……会長ってそれは知らなかった…まさか、会長とは…と、いうか中学の時聞いてた会長ともしかして同一人物?


『なんでそんなとこいんだ!早く帰ってこい!』

「なんでって…」


こいつ、なんでこんなに焦ってんだ?


『いーから!』

「なんで、そんなこと言うの?俺別に無理やり部屋連れ込まれたわけじゃないし、お前にそこまで干渉される理由がわからない」

『…』

言い方、悪かったか。でも、思っていることは本当。
どうせ、気を使って仲良くなってもすぐに離れていく人たちばっかりで。

俺が甘えられるのはいつだって、雅さんと帝さんだけ


怜も、飽きたら、俺に構わなくなる。


なんて思ったのもつかの間、俺はこいつがどんな奴かをしらなかった








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