うううと泣いていたら目の前のナミさんに叱られる。 私を庇って大きな怪我をしてしまったナミさんは痛いだろうに平気そうな顔をしていた。 いつも綺麗なナミさんは私のせいで全身から血が吹き出ていて私は怖くて情けなくて腰が抜けるし涙が止まらない。
「早く逃げないと死ぬわよ!?さっさっとルフィたちを呼んできなさい!」 「すいません、腰が抜けて立てません…。」 「この馬鹿!!」
いつもの調子で怒られる。 私は泣くことしかできない非力な自分を奮い立たせようと努力はするものの立つことすらままならない。
今日私とナミさん以外は決闘大会みたいなのがあるからそれに参加してくる!と行ってしまった。 そういう野蛮なことに興味がない私たちは買い物を楽しむことにしたのだった。 そこに不運にも賞金稼ぎが現われそんなに懸賞金が高くない私とそこそこなナミさんは狙われたのだった。 ナミさんの色仕掛けが通じないという奇想天外な男だったので(たぶんゲイかロリコンなのだろう)、私とナミさんは大変手こずった。 いつもならこの辺でルフィやロビンさんやサンジさんあたりが助けに来てくれる。 そのため心の中ではどこか大丈夫だろう、という気持ちがあった。 しかし彼らは現われない。 それどころかどんどん人通りは減ってしまい、いつの間にかナミさんもいなくなってしまっていた。 私は絶体絶命なこの状況にパニックに陥りそうになる。 きょろきょろとあたりを見回すが武器になりそうなものはまるでない。 こんなところで情けなく死んでしまうのか。 私に向かって迫りくる賞金稼ぎを前に死を覚悟して目をつぶる。 が、痛くない。 恐る恐る目を開ければ私に代わって斬られるナミさんがいた。 たった一瞬なのに何ヶ所も傷が出来ていた。 ナミさんは私をひきずってその場から逃げる。
ということがあり今に至るのだ。
「私がひきつけるからあんたは逃げなさい。」 「いやです。一人にしないでください。」 「あんたそんなんで海賊になりたいだなんてよく言ってこれたわね!」 「うっうっ、」
泣いていたって何も始まらないとよく言われるし自分でも分かっているが変えることができない。 ナミさんは私を守ろうとしてくれているのに。 ナミさんだってそんなに強いわけじゃないけど、自分の限界を超えて戦闘に協力してるのに。
「何で助けに来たんですか!?」 「あんたが逃げようとしないからでしょうが!」 「ナミざん!私が死んでもいいけどナミさんは死んだらだめでず!」 うわあああっとナミさんの白くて綺麗な太ももに泣きつく。
「私が行くからナミさんは逃げてくだざい!」 「腰が抜けてる人間がよく言うわよ。」 「きっとそのうち治ります!」
無理よ、と笑うナミさん。 私を強く蹴り上げて早く行きなさいと叫ぶ。 ナミさんは私と逆方向に走り出す。 オレンジ色の髪の毛が太陽に当たってキラキラしていた。 真っ白な肌や鮮やかな服は血で染まっている。 私は情けなくてようやく立つことができた足とぐしゃぐしゃの顔でみんなのところへ走る。 ごめんねナミさん。
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