こそこそとつけてしまう自分に嫌気がさすが仕方ない。
ルッチは女と親しそうに腕を組んで歩いている。
歓楽街をどうどうと歩く二人は傍から見ればカップルなのだろう。
そしてホテルに入っていく二人。
私は思わずあ、と声が漏れる。
ルッチは今気付いたのか、初めから気付いていたのか私の方をチラリと見てニヤリと笑う。
私は腹が立つのか悲しいのか訳がわからなくなりその場から走って逃げる。


「どうしたんじゃ名前。」
「あの男本当どうしてやろかしら。」
「またルッチか。」
お前も大変じゃのう、と言ってお茶を出してくれるカク。
私はいつもむしゃくしゃしたらカクの部屋に来る。
カクは私に当り散らされようが、めそめそ泣かれようが別段気にもとめないで私を部屋に置いてくれる。
いい奴だと思う。

「これで何回目じゃ?」
「回数なんて覚えてない。」
「お前ら本当に付き合っとるんか?」
「愚問よ。」
「お前は他の女とルッチが寝ててもいいんか?」
「いいわけないからこうしてカクの部屋に来てるんでしょうが。」
「ああ、もう、また泣くんか名前。」

カクはティッシュを持って来てお母さんみたいに私の顔を拭く。
いい歳してどうしてカクの前ではこんなに泣いちゃうんだろう。


「カク、ごめんね。」
「別に構わんよ。」
「私何されてもルッチのことが好きなんだ。自分でも腹立つくらいに。」
「…知っとる。」
「嫌いになれたら楽なのに。」
「のう、名前…。」
「何?」
「…ルッチとは子供のころからの付き合いだからわかるじゃろ?」
「何がよ。」
「ルッチがお前のこと愛してるからこそああいうことするんじゃって。」
「分かってるよ、ルッチの愛情表現が歪んでることくらい。」
「じゃろ。」
「だからっていくら何でもひどいわ。」
「まあ、そうじゃな。」

カクは私と同じくらいルッチのことをよく理解してると思う。
ルッチはとにかく昔から歪んでいて、私はよくそれに困らされた。
浮気だって今日が始めてじゃないし、何故それをするのだとルッチに問うたところで答えなど返ってこない。
ルッチは私など好きじゃないのだ、と思った時期もあったがどうやら違うらしい。
愛しているからこそ、だと言っていた。
理解不能だ。

私がパニックになる度カクが傍にいてくれた。
もし私がルッチじゃなくてカクと付き合っていればどれだけ幸せだったろうと思う。
カクは怒ると怖いが普段は優しくて愛嬌もあるから一緒にいて楽しい。
心から信頼できるし。
しかしカクと付き合うなんて選択肢は私の中にはルッチと出会った時点でなかっただろう。



「あ、来客じゃ。」
「どうせルッチでしょ。」
「分かっとるんなら、お前が出てやれ。」
「…いやよ。」


はあ、お前らは全くと言ってドアに向かうカク。
私はきっと扉を開けてこちらを見るルッチを見て泣いてしまうだろう。
ルッチはそんな私を見て喜びほくそ笑むのだ。







愛しいこののろいからとかれる日はくるの?

0521







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