病院に着くと皆がいた。
遅かったな、とジャブラが今にも泣き出しそうな顔で俺のほうを見る。
下らない何の騒ぎだ、と口から出るのも待たずカリファから名前の死を知らされる。
それを知っているはずのこいつらが誰一人として涙を流していないあたりさすがCP9だと思った。


別れを言ってないのはお前だけじゃ、とカクに促され一人病室に入ればいつもと変わらぬ寝顔で名前はベッドの上にいた。
本当に死んでいるのだろうか。
息をしているのではないか、と顔を近づけるもののそれは全く聞こえない。
脈を取ってみたところで何も反応はない。
カリファがこんなことで嘘を吐くはずなどないのに。
俺は少なからず動揺しているのだろうか。
馬鹿らしい、と嘲笑いたくなった。

この女はCP9として共に仕事をしてきた。
口癖の様に私とルッチのどちらが先に死ぬかしらね、と言った。
そんなの俺より弱いお前に決まっていると言ったら嬉しそうに笑う変な女だった。
効率よく仕事をこなし、女と言う立場から見ても仕事に関しては努力している方だった。
普段は割と明るい方なのかジャブラと一緒に騒いだり、カリファと買い物に行ったり結構楽しそうにやっていた。
それもあって人を殺す時にこの女が見せる顔が忘れられない。
顔中返り血を浴びてごみを見るような目で死体を見つめていた。
憎悪から来るのか、嫌悪から来るのかはよく分からないが死体から目を離さなかった。

私は人を殺したくない、とその日の帰りに船の中でその女は言った。
俺は返事をしないで任務報告書を仕上げていた。
ルッチはどう思う?と尋ねて来たので、悪人はいない方がいい。だからこの殺しは許される。と答えた。
ルッチは嘘吐きね、と呟いた。
女は早くこの世界が無くなってしまえばみんな平和になれるのにね、と言った。
私たちずっと息をとめて生きてるみたい、と女は言う。
下らん、と俺は言いハットリはクルッポーと鳴いた。





女の死因は他殺。
暗殺の任務の最中見つかってしまい返り討ちにあったらしい。
しかし外傷は少なくまるで生きてるようだった。
顔もどこか笑っているようだった。


「お前はもう手を汚さなくていいんだな。」

俺がそう言っても女は微動だにしない。
この部屋にはもう俺しか存在していない。
俺は名前のことがうらやましいのだろうか。
それはもうよく分からない。














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