私の大好きな大好きなマルコおにいちゃんが結婚することになったわよ、と母から聞かされ腰が抜ける。
嘘!?と叫べば、ほんとよー。しかも綺麗な人らしいわよ。あんたまだマルコ君離れしてないのにねえ、なんて笑う母。
私はいてもたってもいられず腰なんか抜かしてる場合じゃない!と、家を飛び出す。
何で突然結婚するなんてことになるの。
私何も聞いてない。
家を飛び出せば真隣にあるおにいちゃんの家の呼び鈴を鳴らしまくる。
6回目のピンポンの音とともにおじさんが何事かと出てくる。
マルコおにいちゃんは!?と叫べば、呼んでくるから家の中で待ってなさいと言われる。
私は靴も並べないで家に上がりこむ。
おにいちゃんはリビングに来て、どうした?と眠そうな顔で笑う。
「結婚するってほんと!?」
「もう知ってるのかよい。」
照れるよい、なんて頭をかくおにいちゃん。
私は頭をとんかちで殴られたみたいな衝撃を感じる。
「誰と?」
「同じ会社の人だよい。」
「かわいい?」
「かわいいというよりは美人だよい。」
ああそうだ、写メあるよい、ほら。と見せてくれた女の人は美人だった。
そして大人のお姉さんという感じだった。
「…。」
「早くお前に会わせたいよい。」
「何でよ。」
「お前は妹みたいなもんだろ。俺の嫁を気に入ってくれると嬉しいよい。」
嬉しそうに笑うおにいちゃんを見てると泣きそうになるけど堪える。
「本当に結婚しちゃうの。」
「ああ。」
「ここを出るの?」
「そうだよい。もう新居の方も契約が進んでるよい。」
「もう毎日会えないの。」
「でもたまには帰るよい。」
だからちょっとは俺離れしてくれよい、と笑うおにいちゃん。
「私も彼氏作るもん!」
「いつになることやら。」
相変わらず笑うおにいちゃんにチョップをいれる。
おにいちゃんはよく彼女もいたけど絶対結婚なんかしないと思ってた。
歳もかなり離れてるから相手にしてもらえないことも分かってたけど、大好きだった。
毎日毎日隣に住むおにいちゃんの家に行った。
本当の兄妹みたいだねって言われるのがすっごく嫌だった。
「幸せになってね。」
「当たり前だよい。」
お前もな、と笑うおにいちゃん。
おにいちゃんの笑う顔を見る度ドキドキしていたのに。
私のおにいちゃんはずっとおにいちゃんのままみたいだ。
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