「てめえ何時だと思ってる。」
「まだ9時じゃん!」

家に帰ると目の前に立ちはだかるはルッチお兄ちゃん。
ちゃんと遅くなるからって連絡したのに。
7時を過ぎたあたりから着信は一分置き。
メールも62通。

「どこで誰と何をしていた。」
「学校で部員と部活をしてた!」
「金曜日は7時には帰ってきてただろう。」
「季節ごとに部活の時間帯だって変わるんだよ!」
「だったらそんな部活やめてしまえ。」

いつだってこうだ。
私の意見なんか聞かないで自分勝手な意見を押し付けてくる。
この前だって友達と買いに行った下着を知らない間に捨てられていた。
高校生がこんな派手な下着つけるなんて許さん、と怒られた。
私は恥ずかしさと悔しさで心の中でお兄ちゃんを呪った。
初めてラブレターをもらった時だってその男の子の家まで行って半殺しにしたし、テストの点数が悪いとみっちり叱られるし。



「お兄ちゃんの馬鹿!!!!!」
「誰が馬鹿だ、バカヤロウ。」
お兄ちゃんはまったく動じてない様子で相変わらず私をガミガミと叱る。


「もういい!お兄ちゃんなんか大嫌いだよ!いつも怒ってばっかりだし、気持ち悪いし嫌い!いなくなればいい!」
「……。」
お兄ちゃんは相変わらず顔色ひとつ変えない。
私の言った言葉をどんな風に受け止めているのだろうか。
怒らないし、呆れないし、悲しまないお兄ちゃん。
それを見ていると私またひどいこと言ってしまったな、と泣きそうになる。
私は居心地が悪く感じて部屋に駆け込む。


お兄ちゃんの過保護さは異常だし、嫌いだ。
でもお兄ちゃんはいつも私の帰りを待っていてくれる。
私の話を聞いてない風だが、ちゃんと聞いてくれている。
次の日仕事でもテスト前は一晩中私の勉強を教えてくれる。
いつも一緒にいて私を守ってくれてる。


謝ろう、と自室のドアを開ければお兄ちゃんがいた。

「あ、お兄ちゃん。」
「…」
「ごめんね、お兄ちゃん。」
「嫌いじゃないのか。」
「嫌いじゃないよ。」
「明日は早く帰れ。」

そう言って出て行くお兄ちゃん。
耳が真っ赤だったのを見ておかしくなって笑う。










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