ルッチさんにこれがよくも提出できるな、バカヤロウ、と任務報告書をつき返される。
そのうえアイアンクローをかけられて泣きそうになる昼下がり。
そして長々と説教。
本当に死ぬかと思った。


廊下をとぼとぼ歩いていたらカクさんに遭遇した。
げっ、と声が漏れそうになったが私はCP9なのでそんなへまはしない。
カクさんは死に至りそうな悪戯をしてくるから注意が必要だ。


「こんにちわ。」
挨拶したくはないがしないと半殺しの目にあう。
以前隠れた瞬間見つかって言うに憚るようなことをされた。
故郷に帰りたくなったが、がんばることにした。

カクさんを見れば、今まで見たことないくらいに怖い顔をしていた。

「さっきルッチと何しとったんじゃ。」
「怒られていました。」
「…。」
「あの、なんかすいません。」

私何しでかしたんだろうか、と不安になる。
カクさんは相変わらず怖い顔で黙っている。
今日は厄日だな。



「のう名前、わしのことどう思っとる?」
「えっ!何ですかいきなり。」
答えるんじゃ、と首筋に指を突きつけられる。
ここで嫌ですとか、恐怖の対象ですと言えるのはただの無知か猛者くらいだ。

「尊敬してます。」
「他は。」
「あー強いです。」
「…。」
「イケメンです!」
「……。」
「天才です。」
「はあ、あほらしくなってきた。」

私の首筋から指を離してため息をつくカクさん。
私結構頑張って褒めたつもりなんだけどな。


「のう、わしが何でお前にちょっかいかけるか考えたことあるか?」
「…カクさんより年下だからでしょうか?」
「はあ。」


今日のカクさん何なんだろう。
いつも私に悪さを働くときのいきいきとした表情がまったく見られない。
しかしそんなことを考えている場合ではない。
早く報告書を出さないと今度はルッチさんに半殺しにされる。



「…あのトイレに行きたいのでお暇してよろしいでしょうか。」
「許さん。」
「!!?」
「嘘じゃ。行って来い。」

さっきの怖い顔とは違ってかすかにだが笑っていた。
ひらひらと手を振るカクさんに別れの挨拶を告げお手洗いへと急ぐ。
突然ぐらりと後ろに体重がかかる。


「お前を虐めていいのはわしだけじゃ。」
よく覚えとくんじゃな、と耳元で囁かれた。
ぞくり、と肩が震えて振り返ればカクさんはいなくなっていた。
漏らしそうになってしまったが私はCP9なのでそんなへまはしない。






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