今日は海軍の人を護衛するという任務がある。
人殺しよりは楽だしいいや、なんて考えながら歩いていたら落とし穴に落ちた。
落とし穴!!?と頭の中は混乱したが、私はCP9、私はCP9と唱えて冷静さを取り戻す。
混乱するときはこれを唱えるといいわよ、と美人お姉さまのカリファさんに教わったのだ。
よく見れば結構深い穴のようだ。
落ちた拍子に骨折したらしい。
足の感覚が変だ。
ああ、もう何でこんなことになったの、と泣きそうになりながら上を見た。
すると腹を抱えて爆笑しているカクさんがいた。


「ちょっ、何してるんですか!?」
「ああ、笑いすぎて苦しいわい。」
ひいひいと未だ笑っているカクさん。


「あの、出して下さい。私午後から任務あるしこんなことしてる場合じゃないんです!」
「仮にもCP9じゃろ?自分で出れるじゃろ。」
「仮じゃないです、正式にです。」

なんていういじめなんだろう。
このぐらいで骨折しました、なんて言えばお前はそれでもCP9か、と言われるに違いない。

「どうしたんじゃ?さっさっと出て来い。」

相変わらずおかしそうに笑うカクさん。
この人は何かにつけて性質の悪い悪戯をしてくるから困ったものだ。


「…自分じゃ出られないので引き上げてください。」
「どうしてじゃ?」
「…。」
「ん?」

悔しい。
きっと分かっているに違いない。
なんて楽しそうに笑うのだろうか。

「骨が折れました…!」
「…のう名前、人にものを頼むときはどうすればいいんじゃったっけ?」

ニコリとかわいらしい笑みでそう聞いてくる。
この前も閉所恐怖症の私を閉じ込めて、出して下さい出して下さいと泣き喚けば同じことを言われた。



「言わんと一生このままじゃぞ。」
「…何でもしますから…。」

うう、恥ずかしい。
恥ずかしさや悔しさから涙が出てきた。

「聞こえんぞ。」
「…!?」

シャベルで土をかぶせてくるカクさん。
生き埋めなんて死に方は一番いやだ。

「ひぃ、やめてください!」
「…。」

どうやら私が言うまで無視するつもりらしい。
本当に何て性格が悪いのかしら。


「何でもしますからカク様許してください。」
「やっと言えたか。」

満足したらしくシャベルも持つ手の動きは止まり、私はすぐさま救出された。



「ああ、この足じゃ任務が…。」
「ありがとうは?」
私を抱えたカクさんの顔が異様に近くて混乱した。
私はCP9、私はCP9と唱えて冷静さを取り戻す。


「…ありがとうございます。」
「何でもか…。何してもらおうかの。」


ふふふと笑うカクさん。
カリファさんのようにセクハラです、と言って蹴りが入れられるくらい精進しようと思った。
任務も遂行できるか微妙だし…。
頭が痛い。






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