春休みも開け、私は三年生になった。
春休みはあっという間に終わってしまった。
春休みの最終日、本気で学校が爆発すればいいのにと思った。
が、残念なことに学校は爆発していなかった。
そのうえ仮病を使えないほど健康体の私は学校を休むことさえも出来なかった。
学校に来ればさまざまな不安が頭を占めるから行きたくないのだ。
もしマルコ先生にばったり会ってしまったらどうしようとか、そんなことばかり考えている。


私はクラス発表の紙を見てそそくさと教室に移動する。
教室に着いたら、黒板に書かれた出席番号順の席に座る。
新学期早々暗すぎる私。
窓際の席なことぐらいしか私にとっての幸運はないんじゃないかと思えてきた。
ぼんやりと窓の外を見る。
みんな何だか楽しそうだ。
そんなことを思っていたら廊下が騒がしくなる。
ルフィでも来たんだろう。


「名前!今年もクラス一緒だな!」
ばーん!と、ドアを突き破るんじゃないかというくらい元気に教室に入ってきて私を見つけるなりパア、と顔を輝かせたルフィに抱きつかれる。
「本当!」
「ああ、ナミとウソップも一緒だぞ!」
「またお前らとかよー!」
「ルフィ、学校で名前に抱きつくのはやめなさい。」

ナミとウソップも教室に入ってくる。
またこのメンバーで一年間過ごせると思うと、自然とさっきまでの憂鬱さを忘れることが出来た。
春休み中も本当助けられたのだみんなに。



チャイムが鳴ると私たちは各々の席に着く。
担任が誰かはちゃんとチェックしたので安心して座っていることができた。
マルコ先生と会う心配がない。
チラリ、と隣を見れば不健康そうな人が座っていた。
不健康そうな人はその隣の机にマジックでチューリップの絵を描いていた。
チューリップの机の人は休みなのか空いていた。
変な人である。


ガラリ、と扉が開く。
私は不健康そうな人から目を離し前を見る。
私はその人を見た瞬間椅子から転がり落ちそうになる。
何でシャンクスがまた担任なはずなのに。

「えー、このクラスの担任のシャンクス先生は寝坊したので午後から来るよい。」

それを聞いてクラスのみんなはゲラゲラと笑う。
私は混乱する。
ナミとウソップがチラチラと私の方を心配そうに見ている。
かなり離れた席のルフィは暢気に鼻をほじっている。

「朝のホームルームだけ俺が代わりにやることになったので、よろしく頼むよい。」

そして先生は黒板に大きくマルコと書く。
先生の後姿を見ていると失恋したあの日のことが頭に浮かぶ。
すごく好きで仕方なかったマルコ先生に気持ちを伝えたあの日のこと。
先生に俺は諦めろと言われたあの日のこと。
先生に会いたくなかったのは、自分が諦めれないことに気付かされるのが嫌だったからだ。
あれだけ好きだったのに、そう簡単に諦めれるはずがない。
先生の後姿もやっぱりキラキラして見える。
結局私の気持ちは何も変わってないんだ。


「マルコと言うよい。社会科を担当してるよい。」
先生が前を向き直ってそう言う。
先生の声も話し方も口調も大好きなことも変わらない。


「マルコ!?俺エースの弟だぞ!」
「おお、知ってるよい。エースは元気かい?」
先生はルフィを見て嬉しそうに笑う。
私は泣きそうになる。
先生の笑顔が好きで好きで仕方ないのも変わらない。


先生はルフィにまたエースの話を聞かせてくれよい、と言う。
「あーちなみにこのクラスの世界史を教えるよい。」


先生はこちらのほうを一度も見ない。
ただの偶然だろうか。
それとも私がいることを知っているのだろうか。
世界史を教えるってことは毎週こんな苦しい想いをしなくちゃいけないんだろうか。
当たり前だった先生との日常が嘘みたいだ。

先生に私を見てほしい。











0523
三年生からナミさん+αが同じクラス









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