私は本当に頑張った。
初めて一夜漬けというものを経験したし、一週間世界史のことだけ考えて生活した。
ナポレオンとコーヒーハウスで談笑する夢を何度も見た。
ナミやウソップが心配するほど勉強した。
休み時間も放課後も帰ってからも、私の自由時間は全て勉強に当てられた。


「おお!世界史満点だ!名前よく頑張ったなー。でも数学もっと頑張れよ。」
シャンクスから結果を渡され、私は席に着いてから世界史の点数を見て思わずこっそり泣く。
どうした?大丈夫か?と気づいたルフィとウソップが寄ってくる。

「世界史満点とった…!」
と言えば今まで散々話を聞いてくれたウソップも一緒に泣いてくれた。

「お前頑張ってたもんな…!」
「うううっ…」
「えっ、ぐ…」
「何で泣いてんだお前ら?」





そんないい思いでもあり私はと言えば資料室の前である。
シャンクスにマルコ先生がどこにいるか聞いてから来たので大丈夫だ。
ちゃんと礼言っとけよー、と言われた。
そんなの当たり前だ。


「先生!」
「名前、聞いたよい。本当によく頑張ったな。」

先生は頭をなでる。
私は心臓の奥がまたきゅう、と締め付けられる。

「先生ありがとうございます。」
「お前が頑張ったからだよい。俺も嬉しいよい。」

先生が笑うから、私も嬉しくなって笑う。
テストの点数でこんなにも嬉しくなったりしたのはこれが初めてだ。


「で、何が欲しいんだい?」
「あ、あの、私…」
「ん?」
「先生が欲しいです。」


満点をとったら言おう、言おうと考えていた言葉。
私は一大決心でその言葉を発する。
そう言えば先生はくっくっと可笑しそうに笑い出す。


「何か実験でも始める気かい?」
「違います!」
「じゃあ召使いにでもしたいのかよい。」
「わ、私先生が好きです。」

そう言えば固まって、困った顔をして笑う先生。


「嬉しいよい。」
「本当に好きなんです。先生とずっと一緒にいたいんです。」
「そんな冗談は笑えないよい。」
「…冗談じゃないです。」
「もしお前が俺を好きだって言うんなら、それは錯覚だ。お前は18にもならないガキで、俺みたいな大人が珍しいだけだよい。」
「…錯覚なんかじゃないです。」

私はあまりにも理想と現実が違うことに驚いた。
こんなにもうまくいかないものなのか。
泣きそうになる。

「錯覚云々以前に俺は教師でお前は生徒だ。今まで二人で会う機会は何度もあったがそれでおまえを誤解させたなら謝るよい。」

私は言葉も出ない。
あの時間は先生にとっては仕事の一環でしかなかったのか。

「名前、まだ若いんだ。新しい恋愛をして俺のことなんかすぐ忘れるよい。」
「先生がいいんです。」
「…はあ、」

先生はため息をつく。
出会ったときから分かっていた。
私は先生からしたら子どもで、生徒で恋愛対象になんかなるわけないって。
私も憧れなのかもしれない、って思うこともあった。
でも先生に会う度その考えは覆された。


「…先生がいいんです。」
「あのなあ、ちょっと頭冷やせよい。」
「……」
「…泣くなよい。」

私の目からぽたぽたと涙が落ちる。
私は恥ずかしくて、情けなくて、悔しくてただ泣く。
先生は戸惑いながら、私の涙を拭う。


先生じゃないといやなんです。
















20100414





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