長官から正式に辞令を出され、ルッチに監禁生活を余儀なくされた私。
辞令はルッチにとってちょうどいいらしい。
任務が終わったら結婚できるからな、だそうだ。
監禁と言っても想像していたようなハードな物ではなく、監視カメラに24時間見張られて、出かけたいときは許可を得てから出られる。
ほしい物も言えばルッチのポケットマネーから買ってもらえるし。
たまにクマドリやフクロウがご飯を持ってきてくれる。
ジャブラは立ち入り禁止らしい。

しかし、こんな生活を五年間も続けることが出来るわけ無い。
クマドリがご飯をくれる間隙を見て逃げてきたのだった。



私はしばらくあてもなく放浪して、ウォーターセブンという街に来た。
ここにたどり着くまでほぼ飲まず食わずであの時とはまったく違う生活だった。
いい意味でも悪い意味でも。
手ごろな海賊船を襲い、こうしてここまでやってきたわけである。
この街は美しい。
目に映る何もかもが新しくて、世界はやはり広いのだと実感させられる。


「おいお前何で泣いてるんだ?」
「!?」

わたしは感激のあまりボロボロと涙を流していた。
振り返れば、やたら腕の太い人がいた。
CP9を抜けたとは言え、背後を人に許すとは。
自分の気の抜きように驚いた。
と、同時にぐうう、とお腹の音が鳴る。
こんな所を人に見られるとは、少し死にたくなった。


「腹減ってるのか?身なりもボロボロだし…」
「…。」
「喋れないのか?まあいい。来い。」

首をつまみ、まるで私を猫のようにひょい、と私を持ち上げる男。
この男は何のために私を連れて行くのか。
そういえば昔、ルッチに知らない男にはついていくな、とよく言われたな。
ついていけば最後、肉奴隷として永遠に飼われるそうだ。
肉奴隷の意味が分からなくてカリファに尋ねたらすごく怒られた覚えがある。
ふとこんなことを思い出したが、今の私はある程度の力もある。
とりあえず家まで連れて行ってもらえばこっちのものだ。
殺して新しい住処にでもしよう。



「帰ったぞ〜!」
そして私はフランキーハウスと看板のかかる奇妙な家に通される。
そこには大勢の奇妙な人間たちがいて私は圧倒される。


「アニキ!誰です?その女?」
「とにかく飯だ。」
「出来てますぜ!」

どーんと豪華とは言いがたいたくさんの食事が出てくる。
「とりあえず食え!!!」

と言われ大勢の人間が見つめる中私は目の前にあるそれを食べる。

「…おいしい。」
すごくおいしかった。
お腹が減っていたこともあり、私はすごい勢いで平らげる。
気付けば周りの奇妙な人たちはとても楽しそうに笑ってご飯を食べていて、何だか不思議な光景だった。

「お前行くところはあるのか?」
「…無いです。」
「だったらここでいろ。」

二カッと笑うサングラスのやたら腕の太い男はもしかしたら私を肉奴隷にするためにここに連れてきたんじゃないのかもしれない。
アニキさすがです。と感嘆している奇妙な人たちも心なしか私を歓迎してくれているようだった。
まだ殺さなくてもいいや、と思えた。







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