夜が怖くて仕方がない。
時間など止まってしまえ!と喚いたところで、魔法使いでもなければ、能力者でもない私にはどうすることも出来ない。
毎日平等に夜は来るのだ。
船員が寝静まった頃に、エースは私の部屋にやって来る。
大抵言葉は発さず、獣のような噛みついてくるようなキスをする。
長い長い接吻が終われば、荒い息で血走った眼で、私を裸にする。
そして忌々しい行為が始まる。
そんな嫌で嫌で仕方ない行為が気持ち良いものに変わる。
エースは名前と私の名を呼びながら、興奮している。
エースが私を求めてくれている。
それを見て、私は嬉しいと感じる。
そんな自分もひどく怖い。
事が終わるとエースは必ず謝る。
そして、何事も無かったかのようにそそくさと私の部屋から出ていく。
その度、その光景を目にする度、謝罪の言葉を聞く度、私は泣きそうになる。
自分も、エースも、この夜の密かに行われている行為も、全て現実に存在している。
何度夢だと願ったか分からない。
私の想いやエースの想い、それを理解しようとすることは恐怖でしかない。
怖い20100224
人は人を利用する