※ネタバレと捏造注意







頭が割れそうだ。
私は親父に殴られた所がズキズキと痛み始める。
周りにはたくさんの人が倒れていてる。
仲間は絶望だと言わんばかりに泣き喚いている。
私はただ立ち尽くす。






親父を私だけのものにしたい、とうのは私の夢であり、願いだった。
私はいつも親父の膝の上に座って、大きな親父の顔を見上げた。
親父は常に私を見ているわけではない、とそこに座る度気付かされるのだ。
親父の愛は私だけに注がれるわけではない。
それは平等にみんなに注がれるのだ。




「親父は私以外見ないで。」
「それは無理な頼みだ。」

そう言えばただ笑う親父。
親父の大きな二つの眼球に私が映る。
ずっと親父の目の中にいたいと思った。
そのために親父以外の人間全てがいなくなってしまえばいいのにとすら考えた。




「この先親父の目が見えなくなることがあったら、その時は私を最後に見てくれる?」
「グラララ、俺の目が見えなくなる時はお前なんか近くにいねえよ。」
「じゃあ親父が喋れなくなることがあったら、その時は私と最後に喋ってくれる?」
「グラララ、俺が喋れなくなるときはお前なんか近くにいねえよ。」
「…じゃあ、親父が死ぬ時は私の事だけ考えてくれる?」
「グラララ、悪いが俺は当分死なねえぞ。」

大きな手で頭をなでる親父。

「私は親父の特別になりたいんだよ。」
「グラララ。」
笑う親父。
十分特別だ。と私の頭を撫で続ける。
そんな答えは求めてない。
私はエースよりもマルコよりも好かれたいのだ。
ただ親父の一番になりたいのだ。










「親父」
グラララ、と相変わらずのあの笑いで、親父は私を殴った。


私はどうしても親父の最後が欲しくて、ティーチに自分を売ってしまった。
ティーチや海軍に殺されるくらいなら私が親父の息の根を止めたい、と言ったらティーチは私を歓迎してくれた。
私の攻撃くらいでは死ぬどころか痒みにもならないだろう、
そう思っていた。
ナイフで貫いた親父の口から流れる赤色。
親父は笑っている。
私は殴られた頬を押さえつつ立ち上がる。

「どうして殺さないの。」
「お前はまだ死ぬんじゃねえ。」


親父が死ぬのなら私も一緒に死にたい。
親父がいない白ひげ海賊団などいる意味がない。
私はエースを助けたかったんじゃない。
ただ親父の傍にいたいのだ。
このままいけば確実に親父は死ぬだろう。



「私も死にたい!親父のいない世界でなんていられない!」
「お前には家族がいる。」




もう一度深く貫けば、親父はいつもみたいに頭を撫でる。
お前の夢はこんな下らないことだったのか、と笑う。
そして動かなくなる。


遠くでみんなの声が聞こえる。
私は唯、呆然と動かなくなった彼を見上げる。
私の願いは全て叶った。
親父の最後を全てもらった。
だから私も最後をあげたい。
親父にどんなに罵られようとも、私の願いは常に一つなのだ。





ぐにゃり、と目の前全てが歪むのだ。



















20100410
親父の誕生日用に書き始めてなぜかこうなったもの。
カオスの極み
なんて中二くさい小説



















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