「お前か。」

どーん!と私の前に立つのはあのポートガス.D.エース。
教室中の女の子が彼を見た瞬間黄色い悲鳴をあげます。
話したことも無い彼がなぜここにいるのでしょうか。

「な、何の用でしょうか。」
「顔かせ。」


私は彼についていきます。
二人で歩いていると女子たちの目が痛いです。
彼は容姿端麗なうえ、運動神経が良いのです。
そのうえ頭もそこそこ良く、優しく、フレンドリーで誰からも好かれます。
おしゃれで、センスもいいです。
そういうわけで、ファンクラブもあり、みんなのエース様という暗黙のルールがあるのです。
私はそんな人に連れられ、誰もいない屋上にやって来ました。



「この手紙はお前のだろ?」
「!!?」
私がルフィ君に宛てたはずの手紙をなぜか、その兄であるエースさんが持っていました。


「あの、何で…!?」
「ルフィは俺の弟だからだ。」

全く理由になっていませんが。という言葉は飲み込みます。


「悪いがルフィのことは諦めてくれ。」
「は?」

何であなたにそんなこと言われなくちゃいけないんですか、という言葉も飲み込みます。

「ルフィは女に興味が無いんだ。」
「つまりそれって…」
「そうだ。俺の女になれ!」


そうだの意味が全く分からないです。
つまりそれって男の子が好きってことですか、と言いそうだった自分も自分ですが…。


「でも私ルフィ君のことが大好きです。」
「俺もだ。」

どーん!とそう言い放つエースさん。
私はこの人のことを誤解していたのかもしれないです。
すごい人だと思っていたのに、これじゃただのブラコンです。


「からかっているなら、帰らせてください。授業も始まっていますし…。」
「じゃあ俺と付き合え。」
「全く言っていることが理解できません。」
「そうか、じゃあ…。」

そう言い、顔を近づけてくるエースさん。

「ひぎゃああああ!」
「ちょ、暴れるなよ!」
「やめてください!!!!!」


必死の抵抗のおかげで私のファーストキスは守ることができました。

「というか、何故私があなたと付き合わなければいけないんですか!」
「お前も俺もルフィが好きだという共通点があるからだ。」
「は?」
「お前の手紙に心を打たれたというのもある。」
「あの、ルフィ君は何て言っていましたか。」
「誰か分からねえ、だそうだ。」

がーーーん、と私はその場に座り込みます。
確かに私とルフィ君は一度しかしゃべったこと無いです。
でもベタですが、不良から救ってくれたルフィ君のことがずっと好きでした。
大丈夫か、ありがとうございます。と会話を交わしただけでしたが。
話しかけたくてもいつも友達に囲まれているルフィ君に話しかける勇気が無くて決死の覚悟で手紙を出したのに、
目の前にいるのはルフィ君では無くて彼のお兄さんというとんでもない事態になっています。



「悔しい…!」
「慰めてやるから、俺と付き合え。」
「結構です。私ルフィ君と付き合える様にもっと努力します。」
「そうか。じゃあ俺も努力するとしよう。」




それからエースさんに付きまとわれる日々が始まりました。
でも、そのおかげでルフィ君と話す機会が増えました。
三人でこの前、買い物に行くことに成功しました。
私は幸せで幸せで仕方ありませんでした。
エースさんは手を握ってきたり、やたら尻を触ってきたりと変態でした。
でもその魔の手からルフィ君が守ってくれました。
私の決死の覚悟で出した手紙は思いがけずこんなことになってしまいましたが、勇気を出してよかったと思いました。
何よりこうして三人でいることがとても楽しいみたいです。



















20100314
無神経D兄弟
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