エースの恋人








「今日、何の日か覚えてないの?」
「あ?悪ぃな。今からルフィ迎えに行かないといけないから。」
むくりと起き上がったかと思えば、いそいそと服を着始めるエース。
私は裸のままベッドの中で呆然とする。


今日は私たちの付き合って一年記念日だ。
2限終わりなので、エースの家に来たものの、エースは記念日については全く触れない。
それどころかやることやったら、愛しの弟を迎えに行くと言いやがる。



「馬鹿エース!!!!!!」
「わっ!!!何だよ!?」

精一杯の怒りを枕に込めてエースに投げつける。
いつもルフィ、ルフィと弟のことばかりだ。
この前の旅行の計画だって、ルフィが心配だから俺の家に泊まればいいだろ?とか言って、無くなったし。
クリスマスだって、ルフィと過ごすから一緒にクリスマスパーティしよう。と言われ、三人でチキンに齧り付いたあの日…。
友達に相談すれば、そんなの彼氏がお前に愛がないんだろ。と言われるし。



「エースは私のことが嫌いなんでしょ!」
「はぁ!?ってかお前何で泣いてるんだよ?」
私は何だか悔しくなって涙が出る。
弟相手にやきもち妬くなんて私最低だ。
でもエースのブラコンは異常だ。
エースは泣いてる私を見てオロオロしている。



「すぐ帰ってくるから。だから泣くなよ、な?」
「もう帰る!」

エースは困った顔で私を必死に慰める。

「どうしたんだよ?」
「エースは私なんかよりルフィと付き合えばいい!」
「…お前なあ。」

困り顔から呆れ顔に変わるエース。


「なるべくはやく帰るから。服着てリビングで待ってろ。」

そう言って、部屋から出て行くエース。
しばらくして、車の出て行く音がする。
私は風呂場でシャワーを浴びることにする。
すぐ帰るなんて言ったって、ルフィの学校まで車で20分くらいかかるじゃないか、と一人で悪態をつく。

鏡を見れば、涙と鼻水で顔がぐしゃぐしゃだった。
また悔しくなってきて涙が出る。



私はエースが大好きなのに、何で広い心が持てないんだろう。

















私はシャワーを終えて、リビングでテレビを見る。
エースの車の音がする。
どうやら帰ってきたらしい。

「お帰り。」
「名前!!!」

ルフィの太陽の様な笑顔を見るとものすごく罪悪感を感じる。

「ルフィ、ごめんね。」
「何がだ?そういやエースから聞いたぞ!」
「ルフィ!!!!!!!」
「「わっ!」」
「早く制服着替えて来い!」
「シシシシ、分かった!」


エースがいきなり大きい声出すから驚いた。
どたどた、と階段を上がるルフィ。
エースは早く帰ると言っていた癖にとんでもない量の食材の入ったスーパーの袋を持っていた。


「…お早いお帰りですこと。」
「これは…、お前が腹減ってると思ってだな…。あー、じゃなくて…」
「じゃなくて何。」
「いいから座ってろ。」

そう言って無理やり座らされる。
エースはキッチンに行って食事の支度にとりかかった様だった。
結局一周年なんてエースにとってはどうでもいいことだよね。



「名前!」
「おわっ、ルフィいきなり驚くでしょ!」

服を着替えて、ルフィは私の隣に座る。
全く悪びれる様子も無くわりぃ、わりぃと笑う。


「今日で一年記念日ってやつなんだろ?エースすげえうれしそうに車で話してたぞ!」
「え…」
「お前も嬉しいのか?」

エース覚えてくれてたのか。
キッチンを見れば、料理に夢中になっているエース。

「そりゃあ、嬉しいよ。」
「そうか!」

とすごく嬉しそうに笑うルフィ。

「俺もエースと名前が大好きだから二人が嬉しいと嬉しいぞ!」
「私も。」

あああ、きっとエースも同じ気持ちなのだろうと思った。
嬉しくてまた涙が出てきた。

泣いていたらルフィがお前は泣き虫だな、と言って抱きしめてくれた。
キッチンからルフィィィ!!!とエースが飛んでくる。























20100314
兄ちゃんは大好きな二人の笑顔を同時に見たいのです



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