ありがとうございました。





長官に呼ばれてるぞ、と言われジャブラさんに叩き起こされてから頭がガンガンする。
ジャブラさんはあまりにも大きな声で私の耳元で叫ぶものだから耳の調子もおかしい。
きっと鼓膜に異常を来たしている。
後輩いびりをいい加減やめてほしいものだ。
どうせ長官だってコーヒー汲んで来いとかそういう用件なのだろう。
長い廊下を歩いていて現在ウォーターセブンにいるCP9の中で唯一優しくしてくれたカリファさんのことを思い出して少し泣きそうになった。


「失礼します。」

長官の部屋を開ければえらそうに座って、遅い!とそこらへんにあったボールペンを私に容赦なく投げる。
避ける事の出来なかった私はCP9失格かもしれないが、調子が悪いので仕方ないと心の中で言い訳する。
また先ほどとは違う箇所が痛み始めた。
本当部下いびりというかいじめをいい加減やめてくれ。


「お前に任務だ。」
長官はわなわなと唇を震わせながら私にそう告げる。


私に与えられる任務など草むしりとかごみ拾いとか迷い動物探しとかそのぐらいだ。
私は他の皆の様な仕事を任せてもらえないのだ。
長官曰くお前が皆と同じ任務に行っても足手まといになるから、役に立たないから、存在理由がないからだそうだ。
ここまで言われるのに今もこうしてCP9に籍を置いているのは奇跡だと思う。
私なりにいろいろ悩んで嫌になって脱走したりしたけどたいてい皆に叱られてカリファさんが励ましてくれた。
ということもあったので仕事内容に関しては結構割り切ってやっている。


「任務って今度は何でしょうか?」
「青キジさん直々の任務だよ。役立たずなのお前にな!」

そう言って長官は私をギロリと睨む。
私が青キジさんに指名されたことがとてつもなく気に入らないらしい。

「わ、私が!?あ、あ青キジさんってあの!?」
「どもるな!気持ち悪いんだよ!」

そう言って今度はコーヒーカップを私に向かって投げる。
コーヒーは残っていたようで私の顔中コーヒーまみれになる。
冷めていたので熱くはなかった。

青キジさんの指名だなんて光栄すぎることだがよくよく考えてみればいつもの任務と大差無いに違いないのだ。
青キジさんの猫がいなくなったとかそういう理由なのかもしれない。
少し泣きそうになった。


「潜入調査だ。」

そう言って私の前に賞金首の指名手配書を並べる。

「え!?私がこの海賊たちを調べるって言うんですか!?」
「ああそうだ。」

並べられた海賊たちの顔はこんな弱小な私でも知っている海賊たちばかりでぞっとした。

「お前のことだからこの中のどれか一つの海賊を、と思っているかもしれないがここに並べたすべての海賊だ。」
「!!?」
「一海賊団一週間のペースで周っていけ。別に船長と直接話しはしなくてもいい。海賊たちの情報を集めれるだけ集めて来い。」


いきなりこんな任務を任せられるなんて。
どうしよう。
すごく不安な反面すごく嬉しい。


「…死んで俺の顔に泥塗るような真似だけはするなよ。」
「はい!」
「海賊たちがどこにいるかは自分で調べるんだぞ。あと毎日俺に報告の電話を入れろ。」
「…毎日ですか?」
「ルッチたちもそうしてるんだよ!何勘違いしてるんだよ!?」

ぎゃあぎゃあと喚きそこらじゅうのものを投げてくる長官の部屋を後にして私は自室で旅の準備に取り掛かることにする。
顔をとりあえず拭きたい。
これを機にいろんな任務を任せてもらえるようになったら理想的だ。


それにしても長官の勘違いは何だったんだろう?





つづく



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