「・・・あつい」
ギラギラと、容赦ない日差しが照り付けて肌を焦がす。
いくら麦わら防止でしのいだってその脅威に変わりはなし。
なんでこんなところにいるんだっけ。そうだ、コアラを待っているんだ。
重要な情報源だからとかなんとか言って偶然見かけた指名手配犯を追いかけていった。
私はというとこの猛暑で走る気力など皆無で、コアラに任せて待っている状態である。
それにしたっていつまでたっても帰ってこない。コアラの脚力だったらとっくに追い付いて戻ってきてもいい頃なのに。
冷たいものでも買って暑さをしのごうと考えていたときだった。
「だーれだ?」
その言葉と共に視界は真っ暗になった。
おいおい、勘弁してくれよ。こんな暑さの中はしゃいでるのなんて君だけだよ。
「おーい?」
「・・・・サボくん」
しぶしぶ答えると「せーかい」と言って視界は真っ白。
飛び込んできた光に顔をしかめながら振り返るとこれまら真っ白な歯を見せて笑っている我らのリーダー、サボがいた。わざと不機嫌な顔をして見せると、「そんな顔すんなって」と言って流れるように頬にキスをした。
「なっ、ばか!」
「なんだ、照れてんのか?珍しい」
公衆の面前でなにしてくれてんだ。まだ白昼だというのに。
あたふたする私をよそにサボはにんまりと笑うと、今度は指を絡めてきた。
ぎょっとしてサボを見た瞬間、今度は唇にかみつかれる。
ちろりと舌先で唇を舐めてから味わうようないやらしいキス。
体中の熱が顔に集中する。もう溶けそうである。
「顔、まっかでやらしいなぁ」
「バカサボ・・・」
瞬間、目の前がぐにゃりと歪んでからだが傾いた。
サボの声がやけに頭の中に響くと思ったら、私は倒れていた。
船医に視てもらった結果、熱中症とのことだった。
なにもかも夏のせいだ。ということにしておこうかな。