歓楽街の奥にある高級ラブホテル、別に俺からすればホテル街の安ホテルでも十分であるが、Hはどこの国だろうと、なんだろうと、高級を選ぶ。
Hについて知っていることは、ほぼ無いに等しい。
本当の名前さえも知らない。
Hは改造され記憶を失ったらしい。
まあ、得に問題はないのだが。
たまに、どっかの国の王子様とかではないのかとも思うくらい、高級を求めている。
「まだ・・・大丈夫か?」
心配そうに下を向いている俺の顔を除きこむH。
「大丈夫だ。
・・・わざわざこんな所じゃなくてよかったのに。
経費落ちないぞ?」
「大丈夫。
俺が払うから。」
そんななにが大丈夫なのか分からない言葉を吐き、
俺の上に跨がるH。
「・・・シャワーくらい浴びらせろ。」
「このままがいい。」
甘えた子供のように首元に顔を埋めるH。
その頭をなでてやる。
「・・・明日もなんだ。
頼むから激しくするな。」
そう伝えると、Hが唇を噛んだ。
「だから室長は俺たちを?」
「そうだろう・・・
交尾して、情報を吐かせる。
それができるのは三人しかいない。
・・・Xはもう駄目だ。」
X(エクスタシー)それは、そのため(性交)のためだけに造られた改造人間である。
そのXが、自我を取り戻したらしく任務を拒んでいる。
そんなことを考えていると目の前のHの瞳が揺らいでいた。
「…俺は大丈夫だから、Hも死ぬなよ。」
ギュッとその頭を抱きしめてやれば、その手が背中に回る。
Hの体温は高く、比較的低い俺にはとても丁度よく、心地いい。
「分ってる。Sも無理だけはすんなよ。
明日もちゃんと、消毒してやるから。」
そう言ってシャツの上から乳首を舐められる。
シャツの擦れと、Hの下の温かさが心地よく少し体が跳ねる。
「愛してる」
Hの口から洩れたその言葉に少しもどかしさを感じて、けどそれでも嬉しいと思う自分が居る。
(もしかしたら記憶を取り戻したら、俺だけが傷つくだけかもしれないのにな―)
そう思ったがすぐに脳内で訂正をする。
いや、100%俺だけが傷つく。
「…あぁ、俺も愛してる。」
けど、その言葉を行ってしまう自分に嫌気がさす。
求めている自分がいるから。
――――――
「はぁ、くん…あっ」
丹念に性器を舐められ、頭がボーッとする。
それが、薬のせいなのか、Hのせいなのか冷静に考える余裕などない。
「くっ・・・Hっ!もっ、いいからっ・・・あっ!」
頭を掴み、拒んでも口を離そうとしないH。
「だ、めっ!でるっ・・・!」
その言葉を口にするとHが意地悪そうに笑い、性器の根本を掴んだ。
「なっ・・・!」
「だめ。俺ので出して・・・?」
そう言うと、俺の性器より一回り大きい自分の性器を出し、俺の性器に擦りつける。
「はっ・・・なん、で?」
「明日も使うんだから、後ろは駄目・・・明日はちゃんと射れてあげるから、ね?」
そう言って、額にキスを落として頭を撫でるH。
その優しさが、俺を期待させる。
けど、そんなことより目先の快楽に目がくらむ。
Hの手の動きに合わせて、腰が動く。
「あ、はっん!・・・あっ、くぅ」
俺自身でそうになり、Hにしがみつく。
そうすると、耳元でHの吐息が聞こえる。
「はっ・・・でそう。」
そんな悩ましげな言葉が聞こえて、Hの手の動きが早くなる。
ジュッジャッと先走り精液が混ざり、音がなる。
それも聴覚的にきて、興奮を煽る。
「やっは・・・!H、で、るっ・・・!」
「あぁ・・・俺もっ、はっ」
その言葉とほぼ同時に俺の腰が浮いた。
「あぁぁ・・・!んくぅ、」
はぁ、はぁ、と二人の吐息が重なる。
すこし間が開き、Hの唇が俺のそれにかさなった。
チュッーとリップ音が響いて、唇から温もりが離れる。
「愛してる。S」
Mr.HEAVY
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