Blue Rose | ナノ

第3話

さつきに追い掛け回されてなんとか撒いたはいいが、目指していた玄関に辿り着く前にまた面倒な人物を見つけた。
背を向けているが今アノ人に遭遇すんのはマズイ。
せっかくさつきから逃げ切ったってのに全部水の泡だ。
眼鏡…靴履いてさっさと行けよ。
見つからない様に靴箱で身を屈める。
なかなか動かない事にイラついて来た時、誰かと話している事に気付いた。
相手は靴箱に隠れて見えないが、多分女。
ガヤガヤしたこの場所で時折聞こえてくるのは男ではないトーンの声だ。
お、今吉サンが片手を挙げたって事はやっと話が終わったらしい。
靴箱の先、玄関を出て行く女の後姿が見えた。
アノ人、彼女居んのかよ。
…オレは別に要らねーけど。
知力権力、他だってなんでも持ってそうなアノ人の人を喰った様な面がどうやらオレは『苦手』らしい。
まあ、試合に出て相手ぶっ潰せば何も言われねーから…結局そんなのどうでもいい事だ。
今吉サンが体育館に向かったのを見届けてからオレは学校を後にした。


「青峰さん!」
「あ?…んだよ、良か」
「スイマセン!あの…今日は急遽部活無くなったって…さっき今吉さんから」
「ふぅん…ま、オレには関係ねーけど」
「す、スイマセン」
「…お前さ」
「はい!」
「アノ人に女居んの、知ってたか?」
「お、お、女!?」
「おう…女だよ、彼女」
別に詳しく知りたかったわけじゃないが、こないだ発見した今吉情報を良に話した。
予想通りコイツは何も知らねえっぽいけど。
「スイマセン!分かりません…青峰さん、知ってるんですか?」
「おー。こないだ帰りに玄関とこで見つけた」
「全然知りませんでした。同じ先輩なんですかね?」
「さーな……そういや女の方が居たとこは1年の靴箱だったか、っつー事は多分1年なんじゃね?」
あの時は気にならなかったが今ふと思い出した。
あの辺は1年の靴箱で、確か良のクラス辺りじゃねーか?
同じ1年でもオレのはもっと奥の並びだ。
「あ、あの!それじゃボク、戻ります。スイマセン!」
「おー、じゃあな」
いつもみたいに謝って教室を出て行く良をなんとなく視線だけで見遣る。
良が向かった先…そこには女子が2人居た。
はぁ!?なんだよアイツ。
あんなキャラで女と仲いいとか、はぁ!?
どんな物好きかと目を凝らして見るが両方ともこっちに背を向けてて顔は見えない。
「…あれ…あっちの女…」
1人の後ろ姿に目が行った。
あれ、こないだ今吉サンと話してた女じゃね?
ハッキリ覚えてるわけじゃねーけどなんとなく後ろ姿が似てる気がする。
でも良も知らねーって言ってたし人違いか。
…めんどくせー。
オレは考えんのを止めて机に突っ伏した。
目瞑ってすぐオレの脳内に現れたのはやっぱりアイツの顔だった。
あーオレ…きも。

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