Blue Rose | ナノ

第12話

「青峰さん!」
「あ?」
「今日の部活は体育館の工事の為お休みだそうです」
「…関係ねーよ、元々行く気ねーし」
「す、スイマセン…」
「…体育館が使えねーからって休みなのか?」
「はい…今吉さんも用事があるとかで」
「へぇ」
「じゃあ、失礼します!」
教室を出て行った良をぼんやりと見送って考える。
休みったって普段なら筋トレとか走り込みとかしてんだろ。
何もないなんて珍しいじゃねーか。
妙な違和感を感じながら外に視線を移した。
その先には
「…名前」
名前が1人で連絡通路を歩いていた。
何かの教材を抱えてる。
担任かなんかにパシられたんだろう。
気付けばオレの足は廊下に踏み出してた。

連絡通路の先は準備室が並ぶ人気も疎らなエリアだ。
名前を視界に捉えたオレは歩く速度を速めた。
「おい」
「!」
オレの声にビクリと肩を揺らしたソイツは、体は動かさず顔だけを後ろに向けた。
目が合った瞬間また体を強張らせて今度は固まった。
「…持ってやる」
「え」
「だから…それ、持ってやるっつってんの」
「え、あ!」
「貸せ」
「あ、あ、青峰くんッ」
「!」
荷物を取り上げた瞬間名前を呼ばれた。
今度大袈裟に反応したのはオレだった。
名前が『青峰くん』と呼ぶのを聞くのは久しぶりだ。
こないだは逃げられたからな。
「どこ持ってくんだよ」
「あ、えと…社会科の、準備室」
「…一番奥じゃねーか」
「うん、だからいいよ…私1人でも平気だから」
「いーから行くぞ」
「あ、」
またオレから逃げようとする名前の言葉は無視して歩き出した。
名前は戸惑いながらも着いて来る。
もう前みてーに逃げ出される事は無さそうだ。
内心ホッと息を吐いた。
「…お前が桐皇に居るとは思わなかった」
「わ、私も…」
歩きながら話を振れば返事が来る。
一応オレと話す気はあるらしい。
妙な感覚を誤魔化す様にバリバリと頭を掻いた。
「お前、良と仲いいんだな」
「良…あ、桜井くん」
「おう、同中だったんだろ?」
「うん」
返事はするが大して話に食い付いてくるわけじゃない。
緊張してんのか何なのかなんとなく声が震えてる気がする。
そんなコイツにオレはストレートに聞いた。
最近考えてた事をハッキリと。
ただスッキリしたいだけだ、深い意味はねえ。
「…今吉サンは」
「え?」
「今吉サンはどうなんだよ」
「な、んで…」
「良が言ってたぜ?今吉サンとお前、仲いいって」
「!」
ビクリと大袈裟に反応した名前に眉を顰める。
何動揺してんだよ。
嫌な予感が走った。
「…何、やっぱ付き合ってんの?」
「!?」
「なんだよ、図星か」
「ち、違うよ!付き合っては、なくて…」
「はぁ?じゃあ何」
「青峰〜、困ってる子ぉあんま問い詰めたらあかんやろ」
「!」
「…今吉サン」
いつから居やがったのか。
聞こえた声に顔だけ振り返れば、妙にニヤついてる今吉サンがこっちに向かって来てた。
…後つけて来たのかよ。
心の中で舌打ちした。

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