10万打リク | ナノ

コイツは俺の…



休日のストバスコート。
珍しく誰も居ない。
テキトーにシュート放ってたらイラつく声に名前を呼ばれた。
「よぉ…青峰」
「…あ?」
めんどくせーな、火神かよ。
振り向きもしないでいたらもう1回呼ばれた…うぜぇな。
「おい青峰!」
「んだよ、聞こえてるっつの」
「1on1で勝負しろよ」
「めんどくせーな、どっか行け」
「なっ!なんだと!?」
「ほら、嫌がってるじゃん!ならどっか出掛けよ、大我!」
火神だけだと思ってたら女の声が響いた。
名前で呼んでるし、火神の女かよ。
「は!?もうちょい待ってろよ!今コイツと勝負してからっ」
「だから嫌がってるじゃん!きっと負けたくないんだ!」
「…ぁあ?」
女の言葉が耳についた。
『負けたくない』?俺が?火神に?
ふざけた事言いやがって。
どんなブスな女だよと振り向いた瞬間、思いも寄らず俺は固まった。
「!!」
「あ、イケメン!黒いけど!」
「でか!D…いやEか」
「うわ!大我!イケメンだけど変態だった!」
「知るかよ!」
なんだよ、すげえ巨乳じゃん。
しかも結構可愛いし。
俺の事怖がったりもしねーし。
って、デカイ男には火神で慣れてんのか。
つうか、火神とどういう関係だ?
会ったばっかだっつうのに、なんだかモヤモヤして気持ちわりぃ。
「お前、名前なんつーの?」
「え、苗字名前、だけど…」
「ふぅん…。おい火神、お前の女かよ」
「は?ちげーよ、コイツは俺の幼馴染だ」
「幼馴染…ね」
さつきみたいなもんか。
名前は火神の服の袖を掴んでる。
それがなんかすげー可愛くて…俺があの火神の位置に立ちたいと、コイツを俺のモノにしたいと思っちまった。
これが、俺と名前の出会い。


あれから俺は名前の事ばっか考えるようになった。
火神から奪い取って、手を握って、髪に触れて、顔に触れて、匂いを嗅いで、んで…あの唇に触れて、それで…
自分がキモイ。
もっと近付きたいと思ったって、名前の横にはいつも火神が居た。
まるで俺には触らせないとばかりにこっちを睨んできやがって。
『青峰、名前になんかしたら許さねえからな』
『あ?お前口出せる立場なのかよ』
『俺の大事な幼馴染だからな』
『はっ、所詮幼馴染だろ?彼氏でもねーのに出しゃばんなよ』
『なんだと!お前こそ厭らしい目で名前の事見てんじゃねえよ!』
『ああ?厭らしい?そんな事考えてるお前のが変態くせーぞ!』
『なっ!』
『名前が誰と会おうが選ぼうが勝手だろーが』
『名前は絶対お前なんか選ばねえよ!』
『おー、すげえ自信だな!』
『アイツは真面目な男が好きなんだよ!』
『…真面目だぁ?』
『あんな男勝りで活発そうに見えて結構女っぽいんだぜ?』
『何全部知ったような口叩いてんだよ』
『お前よか断然、名前の事知ってるからな』
火神とのやり取りを思い出して舌打ちした。


暫く経って、ろくに話も出来ず触れる事すら出来ずにいた時、1人で歩いてる名前を見つけた。
火神もいねぇ。
柄にもなく名前がいる場所に走ってた。
「名前!」
「あ!青峰くん」
「…大輝でいいっつったろ」
「そっか!大輝!」
「今日は1人なのかよ」
「おー!あ、ねえ大輝!あの店、行かない?」
「あ?……スイーツ…?」
名前が行きたいと指差したのは、女ばっかでごった返してるケーキ食べ放題の店だった。
あんなとこ俺が入れるかっつの。
どうやって違う事に向かせようか考えてると、
「大我なら嫌がらず入ってくれるんだけどねー。やっぱ男はああいうとこ嫌だよね!」
「…行く」
即決しちまった。
俺キモ。


「大輝、ありがと」
「あ?」
「あはは!すっごい耐えてたじゃん!ああいう店、やっぱ嫌だったでしょ?」
「…べっつにー」
「ふはは!我慢しちゃって」
店を出て公園のベンチに座って大きく息を吐き出せば、名前に礼を言われた。
あんな女だらけの店でケーキに群がる女に揉みくちゃにされて、正直最悪の気分だったはずなんだけどよ。
目の前ですっげー美味そうに食ってるコイツ見てたらどうでも良くなった。
俺、どんだけだよ。
ふと隣を見たら、名前のサラサラの髪が風に靡いてなんかすげえ綺麗で…
無意識に手伸ばして髪に触ってた。
そしたら名前の体が跳ねて、ゆっくりこっちに顔向けて来る。
なんだよコレ。
「…顔、赤いぞお前」
「だって!なんかドキドキして」
「俺にドキドキすんの?」
「そ、それは…」
「真面目なヤツが好きなんだろ?」
「だ、大輝は真面目でしょ?」
「は?俺の何処が」
「分かるよ。初対面の時は胸ばっか見てて引いたけど」
「…おい」
「私の事、もうそんな目で見てないし」
「…」
「ホントは大輝の事ストバスで会う前から知ってた」
「は!?」
「あの時大我に着いてったのも、大輝に会う為だった…とか言ったら…引く?」
…俺、コイツの事考え過ぎて頭おかしくなったか?
俺に都合のいい事ばっか聞こえて…
今コイツ…
名前の顔を見ると、さっきと比べものになんねーくらい真っ赤。
やっべぇ、すげー可愛いじゃねーかよ。
『あんな男勝りで活発そうに見えて結構女っぽいんだぜ?』
火神の言葉を思い出してほくそ笑む。
そんなの、俺だって知ってるっつーの。
赤くなった名前の頬に触れれば、涙目で俺の事を見て来る。
あー、たまんねー。
残念だったな、火神。
コイツのこんな顔は、見た事ねーだろ。
もう名前は…俺のもの。



END











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雪若様
お楽しみいただけましたでしょうか?
男勝り巨乳、火神の幼馴染主人公を好きになった青峰で甘、VS火神で青峰落ちという事で。
青峰視点で書かせていただきました。
長くなってしまいましたが、お気に召していただけたら幸いです。
リクありがとうございました!

20140126



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