10万打リク | ナノ

林檎、2つ



「あーおみーねくん!」
「んあ?」
「今日もかーわいー!」
「…またあんたかよ」
「へへ、また私ですっ」
そう言ってヘラっと笑ったのは1コ上のセンパイ…苗字名前。
こうやって毎日のように俺に絡んでくる。
いつだったか、俺がダンク決めたらすぐ目の前のドアに突っ立ってて…多分そっから1回も見てねえ気がする。
「青峰くん!今日寝癖ついてる!可愛い!」
「は!?どこだよ!」
「ほら、ここ!ピヨって。うわ、直んないね」
「なっ、触んな!」
「え?いいじゃんそれくらい」
俺の頭を勝手にペタペタ触って来る。
普通に可愛いとか言うなっつの。
そんな事言ってくるヤツ、他にいねーだろ。
つか、あんま近付くんじゃねーよ。
…すげー、いい匂いすんだよな…
ってちげーよ!
なんか顔熱くなって来た。
なんだよ俺キモイぞ!
「っ部活行くから!じゃーな!」
「あ!逃げられたーっ!」
こんなんばっかだ、くっそ。



次の日いつも通り部活に向かってると、いつもアイツが話し掛けてくる辺りを通ってもアイツは居なかった。
…なんか調子狂うじゃん。
別にガッカリとかしてねーけどな!
もうすぐ体育館って所でアイツを見つけた。
なんだよ、誰かと話してんじゃねーか。
つうか、相手…男。
話が聞こえて来る。
『あはは!』
『だからさ、今度そこ行ってみようぜ』
『え?本気なの?』
『マジ!絶対後悔しねーよ!』
『うえー、どうしよ』
『大丈夫大丈夫、な?』
…なんの話だよ。
あの男、馴れ馴れし過ぎんだろ。
クラスメイトか?
それにしちゃ…
まさか、彼氏?
「…名前センパイ」
「?あーっ!青峰くん!」
「じゃ、苗字!考えといてな!」
「んー、分かった。じゃあね!」
「…」
「青峰くん!!どしたの?」
「あ?」
やっべ。
話し掛けたはいいが、なんも考えてなかった。
俺何やってんだよ。
「なっ!なんだよ!!」
黙ってたら急に覗き込んで来た。
近いっつの!
「いやいや、青峰くんがどうしたの?」
は?
意味分かんねーし。
「青峰くんから話し掛けてくれるなんて珍しいし、っていうか初めて!?うわ!超レア!」
「っうるせーよ!」
「もう!可愛いんだからっ」
「…さっきのヤツ、彼氏?」
「え?ああ、違うよ?クラスの子」
「…あっそ」
「あー!今ホッとした?ホッとしたよね!どうしよ可愛い!!」
「ちげーよ!!」
また『かわいい』かよ。
カッコイイとかねーの?
つか、ダンク決めたの見られてから、俺がバスケしてるとこ見に来てねーよな。
んだよ、そうゆーとこ見ろっつの。
「…なんで部活見に来ねーの?」
「え?」
「体育館前までは来るくせに、部活は見に来ねーじゃん?」
「え、あー、うん」
「うん、じゃねーよ!」
「んー。なんていうか」
「んだよ!ハッキリしろ」
「……んだもん」
「は?」
「だから!バスケしてる青峰くんはかっこ良過ぎて見に行けないの!!」
「………」
「あ、あんなかっこいいの、反則だし」
「……」
お、おいおい。
その理由が反則だろ。
何顔赤くしてんだよ。
マジかよ。
「じゃあね!!」
「え!あ!おいっ!!」
逃げ足早…
なんだよ。
…カワイイの、アンタの方じゃん。
って俺何言ってんだ!!




「あれ…青峰くん。どうしたんですか?」
「んなっ!テツ!びっくりさせんなよ!」
「すみません。でも青峰くん…顔、真っ赤ですよ?」
「!」
「それにちょっとニヤけてます。気持ち悪いです」
「っはぁ!?気持ち悪いってなんだよ!」
「あ、そういえばさっきの先輩…この間ドアの隙間から青峰くんの事見てましたよ」
「!それマジか!」
「はい。今の青峰くんみたいに、林檎みたいになってましたけど」
「………」
「…」
「……」
「青峰くん、気持ち悪いです」
「う、うるせーよっ!!」




それから何日か経って
ドアの隙間からこっち見てる名前センパイ見つけた。
今まで振り回されまくってたけど、次は俺の番な。
っつうか、かわい過ぎだろ。


END









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のき様へ
お楽しみいただけましたでしょうか?
帝光時代ピュア峰
先輩に振り回される感じ
青峰くん視点でやってみました。
リクありがとうございました!

20140117



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