「名前!おっせーよ。帰んぞ」
「ごめんごめん!」
「アイス買って帰ろうぜ」
「アイス!?この寒いのに!?」
学校の帰り道、突然アイスを買って帰ると言い出した青峰くん。
寒い1月、しかも今日は飛び抜けて寒いっていうのに何考えてるんだろう。
とりあえず、1回言い出したらきかないのでコンビニに寄って帰る事になった。
「お邪魔しまーす」
「だから誰もいねーって」
「いや、でも一応ね」
青峰くんのお家に着いた。
手洗いとうがいをさせて貰って青峰くんの部屋に入ると、部屋の真ん中にはコタツが。
「青峰くん!コタツ出したの?前無かったよね!」
「おう、さみーからな」
「やった!コタツ!」
「テンション上がり過ぎだろ」
「コタツ最高!早くあったまろう!」
「ぶっ、変なやつ」
変なやつとは失礼だ。
感覚がなくなってしまうくらいに冷たくなった手足を早く温めたいんだから仕方ない。
青峰くんがスイッチを入れたのを確認してすぐさまコタツに足を入れる。
「うあぁー…」
堪らず声が漏れる。
天板からじんわりと熱が染み渡って脚が痛いくらいだ。
「だらしねー面」
「しょうがないよ、あったかいんだもん」
「そりゃあ良かったな」
「青峰くんも早くおいでよ」
「ん」
短く返事をしてアイスを2つテーブルに放って青峰くんが座ったのは、私のすぐ隣。
ピタリと体が寄り添っている。
「あー、あったけーな」
「青峰くん…狭い」
「あ?この方がもっとあったけーだろ」
「それはそうかもしれないけど」
「おら、アイス食おうぜ」
バリバリと乱暴に包みを開けて取り出したのはガリ○リくんソーダ味だ。
見るからに寒い。
私は雪○だいふく、これならまだ冬に食べるイメージは湧くと思う。
横からシャクシャクといい音がするのでチラリと目をやると、もう一齧りしようという青峰くんと目が合った。
「あ?食いてーの?」
「ううん。寒そうだけど美味しそうに食べるなと思って」
「おう、うめーよ。味見してみるか?」
「え?」
そう言いながらシャリっと一齧りしたと思ったら、肩を掴まれた。
それから
「ん」
「!?」
突然冷たい唇が重なって、驚いて少し口が開いた瞬間に融けかけたアイスが流れ込んで来た。
それはシャリシャリを味わう間もなく融けてしまう。
水分になったそれをゴクリと飲み干した所で、やっと唇が離れた。
「…あ、青峰くん」
「うまかっただろ?」
「うーん」
「足りねーの?」
「い、いや!もういい!いらないから!」
「んだよ、俺は全然足りねーんだけど」
「へ」
間抜けな声を上げると同時、もう一度唇が触れた。
ソーダ味のキスだ。
手が腰に回って引き寄せられて動けない。
抵抗しても無駄と踏んだ私は、素直に青峰くんを受け入れる。
融けた残りのアイスが横目の視界に入る。
コタツの上で完全に融けていて、水分になって広がっていた。
「ん、やべ。融けた」
「もう。こんな事してるから」
「いーじゃん。じゃ名前のくれ」
「まだ食べる気!?」
青峰くんが、手を付けていない私のアイスの蓋を開ける。
程良く融けて柔らかくなったそれは美味しそうだ。
「それ1コ丸々くれ」
「えー!図々しい」
「早く。あー」
あーんと大口を開けて待っている。
自分で食べる気は無いらしい。
仕方なく丸々1コをフォークで刺して青峰くんの口に運んだ。
「んん。んぐ、んめえ」
入った。
むぐむぐと口を動かして食べる青峰くんはなんだか可愛い。
口の横にはだいふくの粉とバニラアイスが着いてしまっていて、子供みたいだ。
指で拭ってあげようと手を伸ばしたら掴まれた。
「な、何?」
「お前こそ何?」
「ココ、アイス着いてるから拭いてあげようかと思って」
「ならやり方ちげーじゃん」
「ん?」
「手じゃなくて口だろ?くち!」
言いながらズイと顔を近付けて来た。
口って…た、食べろって事?
驚いて目を見開いていると、後頭部を掴まれて更に近付く顔。
どうやら本気らしい。
そんな粉とかどうやって食べろっていうの!
頭の中で試行錯誤しながら辿り着いた結果は…
ぺろ…
「!!」
「え」
口端をペロリと舐めると、大袈裟なくらいに青峰くんの体が揺れた。
え…あれ、こういう事じゃ無かった、とか。
不安になって目の前の青峰くんの表情を窺う。
…あ、赤い。
そして私の視線に気付いてハッとすると、思いっきり私を抱き締めて来た。
「今の…エロい」
「!!」
突然視界が揺らいだと思ったら、押し倒されていた。
すぐさま青峰くんは私の首元に顔を埋めて唇を当てて来る。
私の選択した行動は、青峰くんの中の何かに火を点けてしまったらしい。
あーあ。
私のだいふく。
でもまあ、いっか。
今度、青峰くんに買わせよう。
そう思いながら、彼の大きな背中に腕を回した。
END
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知美様
お楽しみいただけましたでしょうか?
青峰でコタツで甘甘。
コタツと言えばアイス、なんていう私の妄想でこんな感じになりました。
お気に召していただければ幸いです。
リクありがとうございました!
泪
20140127
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