空と空色と/グリムジョー | ナノ

06 王と下僕

「…ぃ、ぉい!おいコラてめえ!」
「う、眠…もう、ちょっと寝させて」
「あァ?ふざけんな、オレは腹減ってんだよ!なんか出せ!」
「…冷蔵庫、どぞ」
「…てめえ、穴あきにされてぇのか?あァ?」
「……。……ッ!?」
ガバッ!!!
あ、穴あき?
今穴あきって言ったこの人!
喰い千切るなら分かるけど穴あきって何!?
というかまだ居たの!?
もう日付変わってるんですけど。
て事は私結構な時間意識飛んでたよね。
その間ずっと居たの?
なんなの、帰らないの?お家ないの?家出中なの?あ、幽霊に家もなにもないか。
「おい、なんか変な事考えてんじゃねーぞ」
「い、いえ何も!」
「…飯。」
「は」
「は、じゃねーよ。早く食いもんよこせっつってんだよ」
「な!なんで私がグリムジョーさ、ぐ、グリムジョーにご飯作んなきゃいけないの!」
「あァ?腹減ってるっつっただろ」
「いやいや、もう遅いし帰ったらどうなのよ(家があるのか知らないけどね!)」
「あー、今日は帰んねーぞ」
「は」
「帰ったって暇なんだよ。居ちゃわりぃかよ」
「や、悪いも何も…え?なに、ここに泊まる気!?」
「まぁそんなとこだな、いいから早くなんか作って来い」
誰か、誰か助けて!会って間もない人、いや幽霊が私の家で食事して宿泊までするとか言ってます!なんの罰だろうか。
よく分からないけど暇なの?暇なら他で暇潰しして貰いたい。何故私。
とりあえず帰る気は全く無いらしい。
また私のお気に入りのソファでふんぞり返っている。ああ、デジャヴ。
「はぁ…。何か食べたいものは?」
「ハッ、やっと作る気になったかよ」
「いいから早く決めて。私明日も早いんだから」
「てめえが一番自信あるやつ作れ」
ムカッ
「…偉そうに」
「あァ?」
「べっつに!ふんっ私の料理の腕舐めないでよね!」
「なんだてめえ、随分偉そうな口叩くようになったじゃねえか」
「貴方の方がよっぽど偉そうだからね!私貴方の召し使いじゃないんだから!あんま態度デカイと作ってあげないからね!」
「上等だコラ!下僕のくせによォ」
「下僕!?いつから私貴方の下僕になったわけ!?いい加減に…!?ちょっ…と…まっ!?」

かぷり。

空色は一瞬で視界から消え、一瞬にして私の目の前に居た。
ニヤリと笑い、更に近付いてきた空色は
私の喉元を一咬み。
喰い千切られると思ったそれは、思いの外優しく…
「たった今だ、さっさと作って来い」
ニヤリ
ほらね、またこの顔。
嵌められたのか否か
素直に従った自分が恨めしい。

(私は下僕なんかじゃないんだから)
(咬み跡が疼いた)

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