空と空色と/グリムジョー | ナノ

04 恐怖と興味

「クッ、ちゃんと言う事聞けんじゃねぇか」
「…喰い千切られたくはなかったもので」
「いいぜ、物分かりのいいヤツは嫌いじゃねぇ」
「…それはどうも」
なんだろうか。
周りの人が皆変な目で見てくる。感じ悪い。しかし、これはやっぱりもしかして、もしかしなくても…。
「あ〜。何1人で喋ってんだ、とか思われてんだろぅなぁククッ」
うん、
どうやら間違いなかったようだ。
空色は私にしか見えていないらしい。

で、
どうしてこうなった。
「紅茶な、熱すぎねぇヤツ。」
空色は私の家に上がり込んでいる。
偉そうな口振りの注文も、その内容にちょっと口許が緩みかけて、慌てて引き締める。
喰い千切られるのはごめんだ。
私のお気に入りのソファーにどかりと腰を落ち着けて、右手で頬杖をついて顎で「行け」と指図する。
様になりすぎてて怖い。
しかしなんて俺様だ、王様気取りか、幽霊のくせに…口が裂けても言えない。
温めの紅茶を啜りながら、空色は言った。
「てめえ、俺が怖くねぇのかよ」
唐突である。
「怖いですよそりゃ。得体の知れない幽霊みたいなのが見えてるんですから。しかも目の前でお茶してるし。(偉そうにね)」
「ハッ、やっぱてめえおもしれぇヤツだな」
問われて初めて気付いたのだが、怖いと言った割りに私だいぶ落ち着いてる。
喰い千切ると言われた時は壮絶な恐怖に襲われたが、今はどうだろう。
『興味』だろうか。
ちょっとだけ、目の前の空色の事を知りたいと思い始めている。
知ってどうする?という気もするが、関わってしまった以上、色々気になってしまうのが私の長所であり短所だ。
冷静になると、聞きたい事は山程ある。
「私からも聞きたい事があるんですけど」
「あァ?んだよ」
質問させてくれるらしい。
「あの。貴方はいったい何も、「グリムジョー・ジャガージャック」は?」
「…グリムジョー・ジャガージャック、俺の名だ。名前」

(低く唸りを上げるように)
(空色の名が響いた)

prev / next

[ back to top ]

×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -