空と空色と/グリムジョー | ナノ

20 空と空色と私(END)



ブゥンッ
ゴゴゴゴゴ
「おい名前、来てやったぞ」
「へへ、いらっしゃい」
今日も空色の彼は空を切り裂いて私の元へやって来た。
ニコニコしながら『いらっしゃい』と言えば必ず目を逸らして照れるので凄く可愛い。
そんな事言ったらまた咬み付かれるから言わないけど。
グリムジョーは『好き』を自覚してくれてから、色々な表情を見せてくれるようになった。
心が欠落した存在だというが、そんなのもう私には関係ない。
グリムジョーはグリムジョーだ。
今目の前で色々な顔を見せてくれるのが、グリムジョーだ。
一度それを面と向かって伝えたら相当恥ずかしかったのか、鮮烈なチョップをくらわせられて意識を飛ばしたのはまだ記憶に新しい。
あの時のグリムジョーの焦り様は一生忘れられないだろう。
今もちょっと思い出しただけでニヤニヤが止まらない。
「何笑ってんだてめえは」
「ん?思い出し笑い」
「気持ちわりぃな」
「んふふ、何とでも言いなさい」
「…お前最近やけに生意気になってきやがったな」
ズイと体を寄せられてちょっとだけ焦る。
上から私を見下ろすその瞳はまるで獲物を捕らえた獣。
「…グリムジョー?」
「たまにはしっかり調教しとかねえとな」
「ちょ、調教?」
いったい何をされるのかと脅えて構えれば、ヒョイと持ち上げられてグリムジョーの上に跨らせられた。
そして、ゴツッという音と振動と共におデコに痛み。
ず、頭突き!?
驚いている間もなく唇が重なった。
言葉とは裏腹な優しいキス。
こんなのが調教だと言うのなら、私はいつでも大歓迎だ。
キスを受け止めながらそんな事を考えてふっと笑みを零せば、更に深く重なった。
合間に交わる瞳は鮮やかな空色。
少し上を見れば視界に入る空色の髪。
その先に広がるのも瞳と同じ美しい空色。
そして、貴方…
大好きな色で溢れるこの時を『幸せ』と呼ばずになんと呼ぶのか。
空と空色が有る限り、私の日々は輝き続ける。
グリムジョー、
私、貴方に出会えて良かった。






(大好きだよ、グリムジョー)
(ああ…知ってる)

END



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