unstoppable番外編 | ナノ

番外編3-焼肉パーティー-

「おい黄瀬!肉取り過ぎだぞてめえ!」
「早いもん勝ちッスよ!」


最早恒例、すっかり聞き慣れた争い声が私と奏の家に響く。
今日は休日。
青に水色、黄色に緑といったカラフルなメンバーが集まって焼き肉を楽しんでるところだ。
言い争いは続く。
そしてエスカレートするのも恒例。
「うるさいのだよ!もっと静かに食えないのかお前たちは!」
「あ?こういうのは騒ぐのが普通だろ」
「騒ぎ過ぎだ」
「あーっ!緑間っちもちゃっかり肉ばっか食ってるじゃないッスか!」
「ふん」
「は!?おい名前、もっと肉!」
「はーい。3人共恐ろしいくらいよく食べるよね、ホントに」
「テツが可愛く見える!」
「あはは、テツくんは遠慮しないでもっと沢山食べていいんだよ?」
「はい、いただいてます」
「食べてるよねー!しかも私の手、か、ら!はい、あーん」
「あ、あーん」
「…駄目だこの2人、甘過ぎて近寄れない」
「ああ!名前っち!俺もあーんして欲しいッス!!」
「っはぁ!?んだと黄瀬!」
「で、俺が名前っちのあーん第1号に!!」
「はっ!バァカ!そんなん俺はとっくの昔にやってんだよ!」
「ええ!?そうなんスか!?名前っち!」
「え、あー…大輝が熱出した時は、確か…うん」
「ふんっ、ほら見ろ」
「えーっ!あ、でも俺は飲み物飲ませて貰ったッスよ!へへっ」
「…は?そんなん誰だって…」
「く、ち、う、つ、し…で!」
「っはぁぁあああ!?!?」
「ちょ!涼太!?」
「おい名前!!そんな事聞いてねえぞコラ!!」
「いやいや、やってないから!」
「あ!?まさかあん時俺が部屋入る前に!?」
「するかっ!真に受けないの!人の話聞け!!」
「黄瀬てめえ!ぶっ殺す!!」
「うぎゃっ!!嘘ッス!冗談ッスよ!!青峰っち!ぎゃあっ!!」
「まったくもう…」
おバカ2人の闘いを放置してテーブルに向き直ると、真ちゃんが話し掛けて来た。
「名前…お前も食べるのだよ」
「うん、ありがとう真ちゃん」
「…ほら、ここに取っておいた」
「わ!ありがとう!真ちゃんって優しいよね!」
「っ!や、優しくなど無いのだよ…別に普通だ」
「ふはは。うん、お肉美味しい!」
「…お前は不思議な女だな」
「え?」
「突然異世界からやって来たかと思えば、アイツらを簡単に手懐けているのだから」
「手懐けるって…」
「まあ、俺は絆される気はないがな」
「あはは!私ずっと真ちゃんの事大好きだったからなぁ。大輝みたいになるのは想像つかないなー」
「ぶっ!!だ、大好き、だと!?」
「あっはは!真ちゃん顔赤い!」
「っうるさいのだよ!!」
「黄瀬の次はてめえか、緑間」
「あれ?大輝、涼太は?」
「向こうで死んでる」
「ええ!?うわ…」
「で、お前らはなんの話してんだよ」
「ふんっ…嫉妬深い男は嫌われるのだよ、青峰」
「ああ?んだと?」
「あーもう。ほらほら、大輝ももう噛み付かないの!」
まあ、たいていの事の発端は涼太や真ちゃんの挑発からの大輝の嫉妬だ。
それがエスカレートするとなかなか手におえない。
でも、大輝の嫉妬は可愛いし嬉しかったりする…って言っててなんか恥ずかしいけどそうなのだ。
「何笑ってんだ、名前」
「ん?大輝可愛いなって」
「…嬉しくねー」
「好きだなって」
「…」
「あー、大好きだな」
「…お前、押し倒すぞ」
「それは2人きりの時にね」
「はっ!?なんなのお前!!」
「あはは!自分で押し倒すぞとか言っといて何照れてんの大ちゃん!」
「なんかすげームカつく」
こんな時間が、凄く幸せ。


「私たちよりあの2人の方が断然甘いと思う、なんかもう既に2人の世界だし」
「僕もそう思います」
「同感だ」
「…あ、青峰っちはからかい甲斐があるッス。ってイテテ」
「お前はやり過ぎだ、黄瀬…だからそんな目に遭うのだよ」
「せめてもの抗議ッス…俺まだ諦めてないッスから」
「…諦めの悪い男も嫌われるのだよ」
「余計なお世話ッスよ!」


「んじゃ、お望み通りアイツら帰ったら押し倒してやんよ」
「いやいや、望んでないからね」

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