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心配性のお父さん

「えーっ!マジでぇ!?詳しく教えろって〜!」
「…」
「予想の範疇なのだよ」
あれから数日後の大学。
高尾に隠しておいて後々バレるのも面倒だと講義と講義の合間に話を切り出したらこれだ。
想像のまんま過ぎて引き攣るしかない。
あの日は結局真太郎が帰るまで青峰くんは一歩も部屋から出て来なかった。
夕飯を食べて行ったので彼もお腹が空いただろうと残り物で悪いけどテーブルに置いておいた。
メモを置くのはなんだか気が引けたのでただ料理を並べただけだったのだけど、青峰くんの箸を転がしといたからかな?次の日に綺麗に無くなってたからきっと食べたんだと思う。
お皿も洗って綺麗に片付いてた。
次真太郎を呼んだ時はリビングじゃなくて部屋に通した方がいいんだろうか?
なんて数日前の事を思い出した。

真太郎は高尾の予想通りの反応を見た後、後の事は任せたとばかりに本を読み出した。
「青峰か〜、怖い顔してんのにモテんだよね〜あのヒト」
「モテるんだ?まあ、彼女いるしね」
「え!彼女いんの?でもそれホントに彼女?」
「どういう意味?」
「特定の彼女作らないって噂聞いたことあんだけど」
「そうなの?え、じゃああの子何」
「さあ?分かんねーけど」
「たらしか…」
「なになに?名前ってば青峰の事気になっちゃってんの?」
「はぁ…高尾はすぐそうなる」
「っはは!わりわりっ!でも彼女じゃねーんじゃねーかなぁ?」
「じゃあ女の子が勘違いしちゃってるって感じなのかな」
「んー。ま、そんなとこなんじゃね?」
「ふぅん。まあ、私には関係ないけど…不本意にも同じとこに住んでる身としては迷惑だけは掛けないで欲しいわ」
「だな〜」
高尾との会話を終えて息を吐くと、本を読んでいた真太郎がこっちを向いた。
その表情はなんだか物言いたげだ。
「真太郎?」
「名前」
「うん?」
「お前は突然何をやらかすか分からんからな」
「…なんですかいきなり」
「俺がたまに見に行ってやるのだよ」
「え?」
「勉強会のついでにな」
「あ、うん」
よく分からないけどまた勉強を教えに来てはくれるらしい。
青峰くんとやけに険悪な感じに見えたからもう家には来ないかなと思ってただけにちょっと安心した。
すると突然高尾が笑い出した。
「ぶっはは!」
「高尾、何が可笑しいのだよ」
「だって真ちゃん!ぶくく!心配なら心配だって素直に言やあいいのに」
「なっ!俺は別に心配など」
「まーったく素直じゃないんだから。名前、真ちゃんは名前の事心配してんだよ」
「心配?私を?真太郎が?」
「おう!名前に悪い虫がつかないようにってとこ〜?」
「高尾、いい加減にするのだよ」
「ぶはは!分かったって!」
「真太郎、それってなんだかホントお父さんみたいだよ」
「なっ」
「ぶっ!ぎゃはははは!しっ死ぬうぐはははっ」
「………高尾〜〜〜」
笑い転げる高尾とフルフルと体を震わせて怒っている真太郎を放置して、次の講義の準備を始めた。


お父さんは言い過ぎかななんて思いつつ
真太郎が近くに居てくれるのはやっぱり安心だ

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