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対面

「ちょっと叔父さん!?待って!もしもし!もしもしー!?」
忙しいからと電話の相手である叔父さんに無理矢理通話を終えられた。
どうしろっての、この状況。
玄関で物凄い不機嫌オーラを纏った男が仁王立ちしている。
でもそんなに怖い顔で見られたって私はこの家に上がりたいのだ。
何故かって此処は…
私の家なのだから。
そして同時に此処は…
目の前の彼の家でもあった。


話を少し遡る。
大学2年の私は、この春から晴れて1人暮らしをする事になった。
何故2年からなのかと言うと今年の始め、一緒に暮らしていた7歳年の離れた兄が結婚したから。
私と兄は数年前両親を亡くした。
それ以来兄には迷惑掛けっぱなしだ。
両親との思い出の残る実家で2人で暮らしていたけど、兄がこれから幸せな新婚生活を送るというのにずっとそこに居座れる程無粋ではないつもりだ。
これが自立するいい機会だと思い、ちゃんと相談した上で1人暮らしを始める予定だったのだけど。
小さい頃からお世話になっている、不動産業を営んでいる親戚の叔父さんにいい物件を探して貰った。
共同キッチン、ダイニング、リビング。
個別のお風呂、洗面所。
自室は勿論鍵付き、約10畳の日当たり良好、築1年という優良物件…2部屋のシェアハウスだ。
もっと部屋数があれば寮みたいな感じ。
既に1年前からもう1部屋は埋まっている。
同居人はもう決まっているという事だ。
それの何が問題なのかというと…
「叔父さん!同居人が男なんて聞いてないしおかしいでしょ!」
『え?そうなのか?契約にはちゃんと…』
「ちゃんと?」
『って…これ、お母様の名前じゃないか。住んでるのは…大輝…男だな』
「大輝!そうだよ!男だよ!!どうすればいいの!」
『荷物は運び込んじゃったんだろ?』
「昨日のうちにね!」
『その時にその大輝くんって子は居なかったのかい?』
「居なかったからこうなってるんだよ」
『そうか。んー。ほら、同居って言っても自室は完全に離れてて鍵付きであるわけだし。住めば都ってよく言うだろ?』
「叔父さん!!!」
『ごめんごめん。でも生憎今近くに空き物件が無いんだよ。この春からの新入生で溢れてるから』
「それって結局…」
『うん。頑張って』

そして冒頭に至る。
携帯をしまって男に向き合う。
うわ、人相悪い。
「…苗字名前。大学2年女。よろしくです」
「は?マジでお前ここに住むのかよ」
「だってもう仕方ないし。野宿は嫌」
「いや、そういう事じゃねーよ…はぁ、まあ俺は別にいーけど」
「じゃお互いの生活に干渉しないって事で…名前、何大輝?」
「…青峰。俺も2年」
「あ、そう。青峰くん、よろしく」
「おー」


住めば都って…
先行き不安過ぎるよ、叔父さんのバカ

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