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幻滅

「じゃあね、真太郎!また明日」
「ああ」
帰り道、講義についての話で珍しく盛り上がってそのまま真太郎が家まで送ってくれた。
いつの間にか日は落ちて薄暗い。
きっとだから家まで来てくれたんだろうなと真太郎の優しさに思わず微笑んだ。
家の前で別れていつものように鍵を開けてドアを開く。
「ただい…ッ」
おっと、危ない。
言いかけて口を押えた。
玄関には女物の靴。
きっとこないだの彼女だ。
見つからない様に部屋まで辿り付かなければ。
そっと家に上がり自分の靴を靴箱にしまい込んだ。
ちなみにこれはだいたいいつもやっている事だ。
いつ彼女が来てもいい様に…ってなんで私がこんな事しなきゃいけないのか、っていうのはもう考えない事にしてる。
声がしないのを確認してそっとリビングの扉を開ける。
どうやら青峰くんの部屋に居るようだ。
とりあえずホッとして自分の部屋に籠った。

数時間後。
バタン!という部屋のドアが開く音がした。
防音のはずなのにこっちまで聞こえてくるとかどんだけの力で開けたのか。
その後すぐもう一度バン!と音が響いて、更にもう一度バタン!!
うっるさ!
いい加減にして欲しい!
一体なんだって言うの!
多分最後のバタンは玄関だと思うんだけど。
何事かとそっと部屋から顔を覗かせると青峰くんの部屋の扉が開けっ放しになっている。
リビングのドアも全開だ。
何かあったんだろうか?
自分の部屋を出たらモワッと女物の香水の匂いがした。
間違いなくあの彼女の香水だろう。
んー、臭い。
なんて言ったら失礼か。
物音一つしないので何かあっては困ると青峰くんの様子を窺って見る事にした。
あまり足音を立てない様にそっと部屋に近付く。
しかしホント静か。
もしかしたら一緒に出て行ったのかもしれないな…
「………」
「…」
全開になったドアの前、私は茫然と立ち尽くした。
ベッドに腰掛けて背を向けていた青峰くんが気怠そうに振り返る。
見ちゃいけないものを見てしまった気がする。
「…」
「…」
「ドア…閉めといて」
「…」
何も言わない動かない青峰くんを放置してパタンと音を立ててドアを閉める。
さ、最悪だ。
最低最悪だ。
何かあったらなんて心配する事無かった。
青峰くんの部屋は散乱してた。
ぐちゃぐちゃになった布団。
半裸の青峰くん。
上半身は何も纏ってなくて筋肉質な背中が惜しげも無く晒されてた。
ズボンは穿いてはいたけどずり下がってた。
床には脱ぎ捨てたTシャツと…開封済みの四角いパッケージ。
何があったかなんて一目瞭然だ。
嫌悪で顔が歪んだ。


幻滅だなんて言葉じゃ甘過ぎる
ほら、男なんて皆こんなもん

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