青に染まる | ナノ

知る

金曜日。
黒いジャージに身を包んだ集団が入店して来た。
皆デカイ!
物凄い重圧感だ。
先輩と目を合わせて驚く。
スポーツバッグには『桐皇GAKUEN』の文字。
桐皇の生徒らしい。
その中に紅一点、ド派手なピンクの髪を靡かせた女の子が紛れていた。
どうでもいいけど、超巨乳。
思わず自分の胸元を見てしまった…うん、見なきゃ良かった、残念だ。
その子は突然携帯を取り出して画面を見て、眉を吊り上げた。
「今吉先輩!青峰くんです!」
「おお、そうか。出てみ?」
「はい!…ちょっと!青峰くん!?もう練習試合終わっちゃったんだけど!何してたの!?」
先輩にGOサインを貰って電話に出て、怒鳴り声を上げる女の子。
練習試合。
あ、バスケか…外でボールくるくるしてる人が居る。
どうやら電話の相手が練習試合をサボったらしい。
ピンクの子めっちゃ怒ってる。
その様子に気を取られているうちに眼鏡の細目の男の人が並んでいた。
すみません!と謝ってレジ打ちだ。
この人の事、ピンクの子が『今吉先輩』って言ってたな。
老けてるし、高3なら私とタメだ。
「温めますか?」
「ん、お願いします」
「お箸とフォークはどちらになさいますか?」
「んー、お箸で頼むわ」
「かしこまりました」
関西弁だ。
失礼だけど目が細過ぎて何処見てるか分からない。
「青峰くんのバカっ!!」
「!!」
突然響いた女の子の怒号に肩を窄めると、眼鏡さんが苦笑いしながら話し掛けて来た。
「スマンなぁ。ビックリしたやろ?」
「い、いえ。大丈夫です」
「めっちゃ自由な部員が居ってな、彼女はその世話係みたいなもんなんや」
「そうなんですね…大変ですね」
「はは。おー、来た来た。その自由な部員てヤツ」
眼鏡さんの声に店の外に目を向ければ、そこには立ち読み常連さんのあの彼が居た。
いつのも制服姿で、面倒臭そうに頭をボリボリと掻いて立ってる。
ピー
温め終了の音にハッとして袋に入れて眼鏡さんに渡すと、おおきにと言って外に向かった。
そして笑顔を絶やさず、自動ドアの開いた向こうに居る彼に声を掛けた。
「おい青峰。今日はどないしたんや?」
「…寝坊」
「っはは!そうか、次はちゃんと来るんやで」
「…おう」
『青峰』
強面のあの彼の名は『青峰』というらしい。
この今吉って人とタメ口聞いてるけど…ピンクの子は『青峰くん』って呼んでたような。
今吉って人はピンクの子の先輩で…って事はこの青峰って人、私より年下なの!?
って、いらん情報手に入れた。
とりあえず不良くんじゃなかったという事が分かった。
うん?部活サボってる時点で不良か?
私にはどうでもいい事だけど。


立ち読み常連の彼は
バスケ部のサボり要員だった。

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