青に染まる | ナノ

受け止める

「で…お前はどうなんだよ」
「え」
「って別に聞かなくてもいーわ、拒否権ねーし」
「ちょ!相変わらず横暴!!」
抱き締められたままの恥ずかしい状態で交わす会話。
時折モソモソと動いてみるけど全く抜け出せそうにない。
「おい名前、何逃げようとしてんだよ」
「逃げようとしてるんじゃなくて、苦しいの!」
「こんくらい我慢しろよ」
「そろそろ離してくれてもいいでしょ!」
「…んだよ、そんなに嫌なのかよ」
「嫌とかじゃなく!」
「じゃあなんだよ」
「なんでもいいから!」
「はぁ?よくねーよ言え!」
「離して離して離して!」
「理由になってねーよ!」
「だって恥ずかしくて無理!」
「なんでだよ!」
「無理恥ずかしいこんなの!私だって青峰くんの事いつの間にか好きになっちゃってたんだからっ!!て、あ…」
「…」
「う、うわ…」
「…」
「…」
2人の動きがピタリと止まる。
私、今物凄い事口走って…
顔が熱い!!
目が回る程動揺していると私を抱き締めている青峰くんの腕にぐっと力が入った。
「ぅぎゃ!くるしっ」
「お前…」
「っ」
「今の…もっかい…」
「無理!!」
もう一度私に恥をかけと!?
何を言ってるのこの人は!と肩口に埋まった顔を離そうとして気付いた。
顔は見えないけど…耳まで、真っ赤。
「もっかい言え!ちゃんと言ったら、離してやる」
「だから横暴だ!」
「言えよ!!…ちゃんと、聞かせろ」
そう言って少し距離を取った青峰くんの顔は真剣で、顔も耳も真っ赤にしながら私の言葉を待っていた。
どうしよう…この人ちょっと可愛い。
そんな風に思ってしまった私はもう完全に青峰くんという人に落ちてしまっているのだろう。

「青峰くん」
「ん」
「私、青峰くんが好き」
「っ、…もっと」
「好きだよ」
「まだ足んね」
「大好きだよ…って私だけ、狡い」
「じゃ、お返しな」
そう言って青峰くんの顔がゆっくりと近付く。
逃がさないとばかりに後ろ頭を掴まれた。
もう、逃げないよ。

唇が、柔らかく重なった。


「おデコ、ごめんね。痛かった?」
「…すげーいてえよ。つか普通デコ叩くか?」
「それはホント、すいません」
「そう思ってんなら、もっかいだな」
「え?」
もう一度降って来たキスを素直に受け止めた。
なんだか凄く、幸せだ。

後にバイト帰りの先輩に見られていた事を知る。
こんな公衆の面前でこんな事してたら当たり前だよね。
私きっとおかしくなったんだ。
全部青峰くんのせい。
しっかり責任取って貰うんだからね。


私の頭の中はいつの間にか青でいっぱい
隙間なく綺麗に染まった

END

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