青に染まる | ナノ

慕われる

今私の目の前には巨乳のかわい子ちゃんが座っている。
それもキラキラと目を輝かせて。
テーブルに身を乗り出す勢いで見つめて来るものだから思わずちょっとだけ引いてしまった。
「名前さんっ」
「ん?」
「聞きたい事が沢山沢山あるんです!」
「そ、そうなの?」
「はいっ!もう何から聞いていいのか迷っちゃうんですけど」
「うん」
「まずは」
「まずは?」
「名前さんは青峰くんの事、どう思ってますか!!好きですか!嫌いですか!付き合いたいと思いますか!ていうか付き合っちゃいますか!!」
「ぅっぶ、ゲホゲホッ」
「きゃあ!名前さん大丈夫ですかっ」
「ゴホッ、ちょ、ちょっとさつきちゃん…それ色々おかしいよ」
「え?」
「質問多過ぎというかそもそも質問なのかどうなのか…」
「ごめんなさいっ!色々気になっちゃって」
「どうしてそうなった…」
「だってあの青峰くんが女の子の事追い掛けてるなんてもう私ビックリしちゃって」
「追い掛けてる…のかアレは」
「たまに部活に顔出しても、口を開けば名前さんの事なんですよ」
「…そ、そうなんだ」
「名前さん、どうやって青峰くんを落としたんですか!?」
「え、いや、落としてないから」
「ええ!?何言ってるんですか!!青峰くんどう考えても名前さんの事好っ」
「ストーップ!」
「へ…」
「それは本人が言ったわけじゃないでしょ?」
「う、それは…はい」
「だから分からないよ」
「でも」
「それから私が青峰くんの事をどう思ってるかだけど…それも分からない」
「え」
本心、だと思う。
周りが囃し立ててるだけで自分の気持ちがどうかなんてゆっくり考えた事なかったし、考える必要も無い事だと思ってたんだけど。
あまりにも周りの反応だけが先行しちゃってる気がして、自分が置いてかれてる様な気がして…ちょっとだけ考えてみたのだ。
だけど結果は…分からない、だった。
そもそも青峰くんは確かに私に懐いてはいるかもしれないけど、『好き』とかそういうのとはなんか違う気がするんだ。
なんて思うのは偏屈かな。
始まりがなんだか『餌付け』みたいな感じだったせいか、妙に卑屈になるのは否めない。
だってあの時私が堀北マイちゃんの特集雑誌をあげていなければ、私と青峰くんは『コンビニ店員とお客様』のままだった。
「名前さん?」
「!あ、ごめんごめん」
いけない、考え過ぎてさつきちゃんを放置してしまってた。
さっきとは一転、急に申し訳なさそうな顔になってしまったさつきちゃんに首を傾げる。
「さつきちゃん…どうしたの?」
「…ごめんなさい」
「え?何が」
「図々しく色々聞いちゃって…それに、勝手に話を大きくしちゃって…」
「あ、あはは」
「でも私嬉しかったんです。青峰くんが心を開ける様な人に出会えて」
「え」
「バスケに関しては知っての通りあんな感じで…日常生活もダラダラで…」
「…うん」
「だけど名前さんと出会ってから、青峰くんちょっとずつ生き生きして来たっていうか、楽しみが出来たみたいな感じになって…それが私凄く嬉しくて」
「…さつきちゃん」
「だから名前さん!青峰くんと出会ってくれて、ありがとうございます!!」
「!」
「これからも青峰くんと、仲良くしてやってください!!」
「え、あ…うん」
「ありがとうございますっ!!!」
更に身を乗り出したさつきちゃんに、ぎゅうっと両手を掴まれた。
目がキラッキラしていて眩しい。
青峰くんも、こんなかわいい子がすぐ近くに居るのにどうしたものか。
手を握られたままポカンとしていると、さつきちゃんがなんだかモジモジし始めた。
「?」
「あの、名前さん」
「うん?」
「青峰くんの事お願いしておいて申し訳ないんですけど…私とも、仲良くして貰えませんかっ!!」
ぎゅっと目を瞑って懇願してくるさつきちゃん。
これ男の子即落とせる破壊力。
「勿論だよ」
「きゃあっ!!」


かわい過ぎる妹が出来た
そんな感じ

prev / next

[ back to top ]

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -