青に染まる | ナノ

メールする

青峰くんと帰ったあの日は結局何処に寄るでもなく、家まで送って貰ってサヨナラした。
案外紳士…いや、あれだけ振り回された事を思い出すと紳士とはとても言い難い。
『俺んちココ』
バイト先のコンビニを通過して暫く歩くと青峰くんがボソリと言った。
マジですか。
コンビニめちゃくちゃ近い。
しかも青峰くんの家から10分程歩いた所が私の家だ。
こんなに近かったなんて驚き。
私は高校入学と同時にこの辺りに引っ越して来たので、勿論中学は学区が別だ。
青峰くんとも同じ中学であるはずも無かった。
『近所じゃねーか』
『…みたいだね』
『へぇ』
『…何その含んだ感じ』
『別になんでもねーよ』
…やっぱり送って貰うんじゃなかった。


「あ、またメール」
休み時間、携帯を取り出すと青峰くんからメールが届いていた。
今日既に5通目。
メールとかしそうなタイプに見えないんだけど。
まあ内容が内容だ…。
『すげー暇 授業サボっちまうかな』
『駄目。ちゃんと出なさい!』
『じゃあ出るからなんかご褒美くれ』
『出るのが当たり前なの!ご褒美なんかありません!』
『ケチ お前今日バイト?』
『うん。てか立ち読みしに来ないで部活行ってよ?』
『気が向いたらな』
4通目で呆れて返事しないで放置していたらさっき来たメールがこれだ。
『部活の後そっちいく』
部活に参加する気になったらしい。
これが知れたらまた今吉くん辺りに『手懐けてる』とか言われそうだ。

昼休み。
未だメールが続いている。
しっかり返事している自分も滑稽だ。
『シカトすんじゃねーよ なんか怒ってんのか?』
『怒ってないけど』
『バイト何時上がり?』
『7時』
『終わったら待ってろ』
『無理帰りたい』
『いいから待ってろよ』
『気が向いたらね』
『ふざけんな』
『さっきの青峰くんの真似だから』
『青峰くんじゃねーだろ 大輝だ大輝』
『はいはい大輝くん』
『会った時も呼べよ』
なんだこれは。


「名前ちゃん。なんでそんな憂鬱そうな顔してんの?」
「憂鬱そうな、じゃなくて憂鬱なんです」
「うわ、もしかしてあの怖い彼氏絡み?」
「先輩…彼氏じゃありません」
「もういいって隠さなくて」
「違うんですってば」
先輩は青峰くんの事を彼氏だと思い込んで、もうなんて説明しても分かって貰えない。
今日の上がり時間まであと30分。
待ってろとか言われたけど、部活出てるなら8時位までだろうし待つのもな…って何待つ事考えてるの私は。
悶々としているうちにあっという間にバイト終了の時間になった。
「先輩、お先に失礼します」
「うん。お疲れ様!」
…やっぱり帰ろう。
だって待ってる理由無い…よね。
だいたい1時間も待つなんて。
ていうかなんでこんな事に私はこんなに悩んでるのかって事だ。
すんなり帰ったらいいんだよね。
考え過ぎて疲れた。
店を出て溜息をつき、俯きながら歩き始める。
「おい名前っ」
「!?」
顔を上げたら青峰くんが居た。


ちょっと息上がってる青峰くん
まさか走って来た、なんて

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